Vol.192 気候から地経学へ—2026年リスクの大転換 / 三菱商事1.2兆円、AI時代の化石燃料投資
こんにちは。新しく登録してくださった皆様、ありがとうございます。気候変動・脱炭素・気候テック関連のニュースレターを配信している市川裕康です。「Climate Curation」は2022年4月の創刊以来、theLetterで750名以上、Linkedinニュースレターでは1,130名を超える方にご購読いただいております。心より感謝申し上げます。
🎧 音声概要版 [Powered by NotebookLM / now available on YouTube]
📬 英語版「Japan Climate Curation」 は毎週水曜日配信。日本の気候変動・脱炭素・気候テック関連ニュースのうち、英語圏の記事を中心にピックアップし英語でお届けしています。
-
🇯🇵 世界が気候対策で後退する中、日本はGX路線を堅持[1/14 Japan Climate Curation #186]
-
🎧 - 🇯🇵日本語での音声概要 : Japan Climate Curation vol. 186
*免責事項:本ニュースレターでは要約・翻訳・編集にChatGPT、Claude、Gemini、NotebookLM等の生成AIツールを使用しています。
【⭐📰 今週のニュース・トピックス】
-
🌡️ 「1.5℃目標」10年前倒しで突破か、科学者ら警告 [FT]
-
🇯🇵 三菱商事、米シェールガス事業を1.2兆円で取得——過去最大の買収 [Bloomberg]
-
🌱 グリーン技術競争、なぜ西側は中国に敗れたのか [FT]
-
🌐 WEF報告:2026年最大リスクは「地経学的対立」、気候は短期で後退 [Eco-Business]
-
⚡ 2026年クリーンテック大予測——500人の専門家が示す投資の行方 [Sightline Climate]
-
📊 Nat Bullard氏、恒例の年次プレゼン公開——全200スライド [Nat Bullard]
-
🌋 専門家が選ぶ「最も有望なクライメートテック」で地熱が上位独占 [Heatmap]
-
🚗 「EV終焉」は本当か——普及減速でも内燃機関の退潮は止まらず [Heatmap]
-
🧊 温暖化で氷消失、グリーンランドはなぜ重要か [NYT]
-
🔌 脱炭素から安定供給の危機へ「エネルギー大混迷」 [東洋経済]
👉*先週号『2026年、気候マネーはどこへ向かう? / UNFCCC離脱とEU炭素税の衝撃』[20261/10]を見逃した方はこちらから
👉1年前の今頃は... vol. 142『エネルギー転換の羅針盤:政策・技術・リスクの展望 / 映画『2040 地球再生のビジョン』[2025/1/18』
【1】🌡️ 地球温暖化「1.5℃目標」10年以上前倒しで突破か 科学者ら警告 - EU観測機関コペルニクス、2030年にもパリ協定の気温上昇目標を超える見通し [1/14 Financial Times]
-
EUの地球観測サービス「コペルニクス」は、現在の温暖化ペースが続けば、パリ協定で定めた1.5℃目標が2030年までに突破されると警告しました。これは2015年の想定より10年以上早い時期です。過去3年間の世界平均気温は既に産業革命前比1.5℃を超え、記録上最も暑い11年間となっています。UCLのマクガイア教授は「1.5℃目標は事実上破綻した」と指摘し、危険な気候変動が既に到来していると述べました。2025年の気温上昇はラニーニャの影響で1.47℃に若干低下しましたが、南極では観測史上最高の年間平均気温を記録しました。米国は今月下旬にパリ協定から正式離脱する予定で、トランプ政権はさらにUNFCCCからの離脱も表明しています
【2】🇯🇵 三菱商事が過去最大の買収、米国シェールガス事業を1.2兆円で取得 [1/16 Bloomberg 日本版]
-
三菱商事は、米エーソン・エナジー・マネジメントのシェールガス事業を52億ドル(約8300億円)で買収すると発表しました。負債を含めた総額は約1兆2000億円となり、同社過去最大の取引です。買収対象はテキサス・ルイジアナ両州にまたがるヘインズビル・シェール盆地の掘削事業で、同社が液化権を持つキャメロンLNG基地に近接しています。これにより天然ガスの生産から液化・販売まで一気通貫体制の構築が可能になります。2028年3月期には純利益700億〜800億円の貢献を見込んでいます。背景にはAI・データセンター向け電力需要の急増があり、JERAや東京ガスも同地域に注目しています。👉日本企業過去最大の化石燃料投資。「脱炭素」から「AI時代のベースロード電源」への戦略転換を象徴
【3】🌱 グリーン技術競争、なぜ西側は中国に敗れたのか——再エネの先駆者・欧州、巻き返しは手遅れか [1/13 Financial Times]
-
1980年代、デンマークは中国に風力タービンを輸出し、オーストラリアの大学は中国人留学生に太陽電池技術を教えました。約40年後、立場は完全に逆転しています。中国は現在、太陽光パネルの90%以上を供給し、バッテリーやレアアース加工も支配しています。IEA事務局長は「欧州はマラソンの最初の10kmをリードしたが、金メダルは中国が獲得した」と評します。西側は技術を開発しながらも産業政策を怠り、グローバリゼーションを信じて技術移転を許しました。Northvolt(欧州バッテリー産業の旗手)の破綻やMeyer Burger(スイス老舗太陽光メーカー)子会社の倒産が示すように、欧州の巻き返しは困難です。専門家は送電設備や先進原子力、ペロブスカイト太陽電池など、まだ中国が優位でない分野への集中を提言しています。
ここから先は読者限定の記事となっております。続きは無料のニュースレター登録でお読みいただけます。毎週土曜、気候変動・気候テックの最新動向をお届けしています📬
【4】🌐 世界経済フォーラム報告、2026年最大リスクは「地経学的対立」 気候問題は短期で後退 - 環境リスクは地政学・経済への懸念に押され短期ランキングで順位低下、ただし長期では依然トップ3。AIへの不安も急浮上 [1/14 Eco-Business]
-
世界経済フォーラム(WEF)の2026年グローバルリスクレポートによると、2026年の最大リスクは「地経学的対立」となり、環境リスクは短期的には順位を下げました。米中間の経済緊張を背景に、貿易・制裁・産業政策を戦略的武器として用いる地経学的対立が8位から1位に急上昇。異常気象は2位から4位に後退しました。ただし、これは環境リスクの減少ではなく、地政学・経済リスクに「押し出された」結果です。長期(10年)展望では異常気象、生物多様性損失、生態系変化が依然として最も深刻なリスクとされています。回答者の75%が環境見通しを「激動」と予測しており、地政学的分断が気候協力を弱めることへの懸念が示されています。
image credit: World Economic Forum
【5】⚡ 2026年クリーンテック大予測――500人の専門家が示す投資の行方 - AI・データセンター需要でエネルギーに8割集中、「技術証明より実行力」の時代へ [1/16 Sightline Climate]
-
Sightline Climateが約500名を対象に2026年のクリーンテック予測調査を実施しました。資金調達は横ばいか微増、最も投資が集まるのはAI・データセンター需要に牽引されるエネルギーセクター(78%)と予測されています。系統用蓄電池は展開記録を更新する見込みで、成長著しい柔軟グリッド資産としてはデータセンターの柔軟負荷が注目されています。地域別では欧州(37%)と中国(27%)が投資成長をリードし、中国EV輸出は市場シェアを拡大する見通しです。専門家は「技術証明がゴールではなく実行力が重要」と指摘。気候適応が主流化する年になると多くが予測しています。
【6】📊 エネルギーアナリストNat Bullard氏、恒例の年次プレゼン公開 — 中国排出量が18ヶ月横ばい、AIデータセンター需要急増、TEDトーク「気候変動」言及は激減 [1/15 Nat Bullard]
-
エネルギーアナリストNat Bullard氏の恒例の年次プレゼンテーション(全200スライド)が公開されました。2025年は観測史上2番目に暑い年タイ、石炭消費も過去最高を記録する一方、中国の化石燃料排出量は18ヶ月間横ばい状態にあります。AIデータセンターの急増により米国電力需要予測は大幅上方修正され、170以上のガス発電所が計画中。興味深いのは、TEDトークでの「気候変動」言及数が2020-21年のピーク(年間110回以上)から2024年には約30回へと激減していること。気候変動への社会的関心の変化を示唆しています。EV販売は北米で減少も他地域では増加、中国は再生可能エネルギー投資で世界の半分以上を占めるなど、脱炭素化の複雑な現状が浮き彫りになっています。
【7】🌋 Heatmap News年次調査:専門家が選ぶ「最も有望なクライメートテック企業」で地熱が上位独占 [1/14 Heatmap News]
-
米クライメートメディアHeatmap Newsは、55人の気候・エネルギー専門家への年次インサイダー調査結果「The Insiders Survey」を公開しました。「最も有望なクライメートテック企業」では地熱企業が1位・2位を独占し、首位のFervo Energyは2026年に100MW規模の強化地熱システム(EGS)稼働を予定、2位のZanskarはAIを活用して天然地熱貯留層を特定するスタートアップです。その他、原子力ではKairos PowerやWestinghouse、長時間エネルギー貯蔵ではForm EnergyやAntora Energyなども挙げられました。一方、「実用化が最も遠い技術」としては専門家の約4割が核融合を指摘し、持続可能航空燃料(SAF)、培養肉、水素も課題が多いとされています。
【8】🚗 「EV終焉」は本当か——普及減速でも、内燃機関の退潮は止まらず [1/16 Heatmap News]
-
独Boschは2035年時点でも米国販売車の70%が内燃機関搭載と予測していますが、これにはハイブリッドやEREV(航続距離延長型EV:小型エンジンでバッテリーを充電しながら走行)も含まれます。カリフォルニア州では2025年Q3にZEV(ゼロエミッション車:EVやFCVなど走行時CO2排出ゼロの車両)販売が29.1%に達し、すでにこの比率に近づいています。連邦税額控除の廃止やトランプ政権の化石燃料重視策はEVに逆風ですが、3万ドル台の新型EV登場やテスラ充電規格の標準化、充電インフラ拡充が進んでいます。注目すべきは、EVドライバーの90%以上がガソリン車に戻らないと回答している点です。
【9】🧊 温暖化で氷消失、グリーンランドはなぜ重要か - 世界最大の島の行方は、地球上の数十億人に影響を及ぼす。気候変動で加速する氷の消失がもたらす深刻な影響とは [1/14 The New York Times]
-
グリーンランドは温暖化する世界において極めて重要な存在です。2025年8月までの1年間で1,050億トンの氷が消失し、氷床は29年間縮小し続けています。全ての氷が溶けた場合、海面は約7.4メートル上昇する可能性があります。北極は地球の他の地域の2倍以上の速度で温暖化しており、新たな航路や鉱物資源へのアクセスが開かれつつあります。グラファイトやレアアースなどクリーンエネルギー技術に不可欠な資源が眠っており、米国や中国など大国の戦略的関心が高まっています。気候変動がグリーンランドを地政学的ホットスポットに変えているのです。
【10】🔌 脱炭素から安定供給の危機へ「エネルギー大混迷」。目まぐるしく変わる世界のエネルギー情勢の今 [1/16 東洋経済オンライン]
-
世界のエネルギー情勢が脱炭素から安定供給重視へと急変しています。日本最大の火力発電企業JERAは、太陽光発電の拡大で火力発電所の稼働率変動が拡大し、LNG基地の貯蔵能力が7〜10日分しかない中で「曲芸のようなオペレーション」を迫られています。2022年のウクライナ侵攻でLNG価格が急騰し、米中摩擦ではレアアース供給制限も発生しました。第7次エネルギー基本計画では原発の「最大限活用」が明記され、天然ガスも脱炭素後も重要なエネルギー源と位置づけられました。一方、中国は重要鉱物を「武器化」する動きを強めており、エネルギー自給率の低い日本は困難な舵取りを迫られています。
image credit: 週刊東洋経済
📅「2026気候変動&テック関連イベントカレンダー by Climate Curation」を公開しました。COP31やClimate Week NYC、TED Countdownなど主要イベントに加え、SusHi Tech TokyoやSOSV Climate Tech Summitなど注目カンファレンスも網羅した全39件。ぜひ年間計画にご活用ください。
TechGALA 2026 コミュニティサポーターに認定されました!
🎉この度、Climate Curationニュースレターが1月27日(火)〜29日(木)に名古屋で開催されるTechGALA 2026 のコミュニティサポーターに昨年に続き認定いただきました。特別に招待コードを頂きましたのでご興味ある方は以下のコードをご利用ください🙂 私も現地参加予定です🚀
特別招待コード 50% OFF: TG26-PROMOTION50
【TechGALAとは】地球の未来を拓くテクノロジーの祭典。世界中のプロフェッショナルが集結し、モビリティ、マテリアル、宇宙産業、ライフサイエンスなど各分野の最前線を共有するグローバルイベントです。セッション、ネットワーキング、展示、ピッチコンテストなど、多彩なプログラムで継続的な交流と学びの場を提供します。
お読みいただきありがとうございました。ニュースレターが役に立ったと感じたら、ぜひLinkedInやSNSで「いいね」やシェアをお願いします。
気候変動・脱炭素・気候テック領域のリサーチやコンサルティングのご相談も承っています。お気軽にご連絡ください。
では、よい週末を🙂
市川裕康 株式会社ソーシャルカンパニー | socialcompany.org 𝕏 @SocialCompany / Bluesky socialcompany.bsky.social
すでに登録済みの方は こちら