気候変動のティッピングポイント、フランスの天気・気候レポートから中国EVブームまで

🇫🇷フランス国営放送局の天気予報を「天気・気候レポート」に改編して視聴率向上
👨‍💻気候変動関連の仕事探しに役立つ𝟮𝟱のサイト
🇨🇳🚗中国車販売、EV・HVが初めて5割超えへ
市川裕康 2024.08.17
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こんにちは。新しく登録してくださったみなさん、ありがとうございます。直近1週間の気候変動・脱炭素・Climate Tech関連の国内外のニュース・トピックをご紹介するニュースレターを配信している市川裕康と申します。継続して読んでくださっているみなさん、いつもありがとうございます。おかげさまで「Climate Curation」は2022年4月にスタートして、今年2月からは新しい配信サービスtheLetterにおいて670名を超える方に購読頂いてます。2023年9月から配信をスタートしたLinkedinニュースレターでは1,020名を超える方に登録いただき心より感謝いたします。

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【⭐📰👀今週気になったニュース・トピックス】

【1】気候変動の転換点(ティッピング・ポイント) - 現状はどこまで来ているのか | ヨハン・ロックストローム氏 [8/15 YouTube / TED Countdown Talk]

昨年7月に開催された「TEDCountdown」における18分間のトーク動画。海洋水温の上昇が今までにないレベルで上昇していることを改めて認識させられます。

気候学者の江守正多さんによる現在の気候変動の現状を分かりやすい解説。猛暑の夏の今こそ理解を深める機会になることを願ってます。

気候の転換点(ティッピングポイント)とは、小さな変化が地球のシステムに大きな、多くの場合不可逆的な変化をもたらす重要な閾値のことを指します。科学者たちは、サンゴ礁の死滅や氷床の崩壊など、いくつかの潜在的な転換点を研究していて、排出量の継続がこれらの劇的な変化を引き起こすリスクを高めると警告しています。

気候変動訴訟が世界的に増加し、オランダなどで画期的判決がくだされている一方で、日本の裁判所は気候変動訴訟に消極的であり、国際的な潮流と対照である状況が専門家のコメントとともにまとめられています。

気候変動報道を強化する国際報道キャンペーン「Covering Climate Now(CCNow)」による2024年のジャーナリズム賞の発表について紹介されています。

その中で最優秀賞に選ばれた3人のうちの一人、仏公共放送「フランステレビジョン」気候エディターのオードリー・セルダン氏の取り組みについて、以下のように伝えられています。

"オードリー・セルダン氏は、フランスの国営放送局フランス・テレビジョンの気候編集者です。彼女は大規模な報道部門の同僚たちと協力して、気候変動を報道に取り入れる支援をしています。2023年、セルダンは従来の夜の天気予報を新しい番組「ジュルナル・メテオ・クリマ」(天気・気候レポート)」に置き換えるよう提案しました。この番組では、視聴者に暑さ寒さや雨天晴天の情報を伝えつつ、それを気候変動の文脈で提供します。例えば、表示グラフィックで産業革命前と比較してどれだけ気温が上昇しているかを示すといった具合です。さらに、気候に関する報道や気候科学者へのインタビュー、視聴者の質問への回答なども特集しています。この先駆的な変更は視聴者に好評で、彼らに周囲の世界についてより正確な理解を提供し、フランス・テレビジョンの視聴率向上にも貢献しました。"

昨秋にCCNowとソリューションズ・ジャーナリズム・ネットワークが主催した「Climate Changes Everything」会議で、「ジュルナル・メテオ・クリマ」の立ち上げについて講演した様子を視聴することができます。

*CCE: Elevating Climate Change for Better Weather Reports | Audrey Cerdan, France Télévisions [2023/10/5 Climate Changes Everything Conference YouTube]

先日X上のオーディオ配信のスペース機能を利用して実施されたドナルド・トランプ氏とイーロン・マスク氏の公開インタビューにおいて、気候変動に関する議論に関し、科学的合意に反する主張が行われ、論争を呼んだ様子がまとめられています[1:09:40〜 1:21:00]。トランプ氏は海面上昇が海辺沿いの不動産を増やすと示唆し、マスクは石油・ガス産業を悪者扱いすることに反対、両者は化石燃料からの移行の緊急性を軽視する発言もありました。気候科学者や活動家は彼らの発言を強く批判し、気候変動がもたらす現実的で差し迫った脅威を強調しています。この会話は、これらの影響力のある人物の見解と、気候危機の影響や必要な行動に関する科学的理解との間の乖離があることを改めて浮き彫りにしているようです。

[要約]"2024年上半期、米国は世界的な投資減少にもかかわらず、気候技術融資の主要市場として中国を追い抜きました。米国企業は67億ドルを調達し、中国企業は51億ドルを確保しました。この変化は米国の気候政策、特にインフレ削減法によるものであり、税額控除や政府支援を通じて投資家の信頼を高めました。気候テックへの世界的な資金提供は50%近く減少して220億ドルとなり、マクロ経済の課題や投資家の関心が人工知能へシフトしていることを反映しています。カナダは2024年上半期に18億ドルを調達し、気候テック投資で3位にランクしています。"

*7/5 に公開されたCTVCの記事『2024年の出だし低調、投資額113億ドルに - 上半期は不振、投資が2020年水準まで落ち込むも、一部に好調な動き』の113億ドルと220億ドルとでは差異があることに気づきます。取りまとめた情報源によって測定方法も異なると思われます。気候テックの投資額の記事を目にする際には注意が必要と感じます。

【8】気候変動関連の仕事探しに役立つ𝟮𝟱のサイト

TechChange という国際開発やソーシャルイノベーション分野の人材育成を行っている会社のCEOである Nick Martinさんが気候変動分野の仕事、就職・転職・学習などに関する25もの団体、ウェブサイト、コミュニティをまとめ、Linkedinに投稿されているのを目にしました。国内においてもGX人材に関するオンライン学習サイトやセミナーなどが増えつつありますが、求められる人材像、スキルなどのイメージが少し異なるような気がしています。この辺も少しずつ掘り下げていきたいと思います。

バイデン政権が2022年8月に成立した気候・クリーンエネルギー関連投資法案、「インフレ抑制法(Inflation Reduction Act = IRA)」は、クリーンエネルギー部門で著しい成長を促し、様々な産業で33万以上の新規雇用を創出たと報じられています。主要製造業プロジェクトの4割に遅れが発生しているとも指摘されてますが、約60兆円規模の気候変動対策パッケージのインパクトとして、以下のような分野での雇用が生まれているということはとても興味深いと感じます。

[要約]「2024年7月、中国の自動車市場は重要な節目を迎え、電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車の販売が初めて全車両販売の50%を超えた可能性が高くなりました。新車全体の販売台数は2%減少して173万台となりましたが、EVとハイブリッド車の販売は87.9万台に増加し、総販売台数の50.8%を占めました。この成果は、世界的に需要が鈍化する中でも、中国のEV業界が引き続き強い勢いを維持していることを示しています。全体的な自動車販売の減少は、生産と割引の減少によるものです。消費を促進するため、中国政府は古い車の新車への買い替え補助金の増額など、対策を導入しています。」

*来年にはBYDに続き中国の高級EVブランド「Zeekr(ジーカー)」が日本に進出するとも報じられています。

image credit: Bloomberg

image credit: Bloomberg

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*気候変動、脱炭素、気候テック関連のリサーチ等にも力を入れています。海外の業界動向調査やコンサルティング等、お仕事のご相談・ご依頼がありましたら、どうぞお気軽にご連絡下さい。

では、どうぞよい残りのお盆休みをお過ごしください🙂🙋

市川裕康 株式会社ソーシャルカンパニー | www.socialcompany.org

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