参院選で問われる気候政策 - 各党の違い鮮明、世界は記録的酷暑と脱炭素競争激化

今回は参院選と気候変動について掘り下げてみました。投票の際の考えるきっかけとして活用いただければ幸いです:)いつも通り音声でも視聴いただけます🙂🎧
市川裕康 2025.07.05
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先週の英語版ニュースレター「Japan Climate Curation #159」より

*免責事項:要約、翻訳、編集の際にClaude Sonet 4 などの生成AIツールを使用しています🙂

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【⭐📰👀今週気になったニュース・トピックス】

  • 7月投開票の参議院選挙について、【1】〜【4】の記事をピックアップしました。報道やSNSで参院選の争点として気候変動が大きく扱われることは少ないものの、討論会の開催やマニフェスト比較記事の公開など、関連報道も見られます。来週もこのテーマを掘り下げる予定ですが、以下はウェブ情報と6月29日の日本若者協議会主催討論イベントでの発言を基に、生成AIで作成した一覧表です。ご参考にしていただければ幸いです。

Claude Sonnet 4を利用して作成

Claude Sonnet 4を利用して作成

  • 2025年参議院選挙における各党のエネルギー政策は、原発への姿勢で大きく分かれた。自民・公明は2050年カーボンニュートラルを掲げ、国民民主は原発稼働推進を明記。一方、立憲民主は原発・化石燃料依存からの脱却と200兆円投入を、共産・れいわ・社民は原発ゼロを主張。維新はGX推進を重視し、国民民主は再エネ賦課金停止を提案。各党の脱炭素アプローチと原発政策の違いが鮮明となっている。

  • 2025年参議院選挙を前に、各党の原発・エネルギー政策を比較。自民・維新・公明・国民は原発推進、共産・れいわ・社民は脱原発を維持。立憲は前回の「速やかな停止・廃炉決定」を削除し脱原発色が薄くなった。公明も「原発依存度低減」を削除し次世代革新炉開発を追加。参政は再エネ推進停止とパリ協定離脱を主張。各党の政策に変化が見られ、有権者の選択に影響する可能性がある。

  • 参院選を前に気候変動・エネルギー政策の公開討論会が開催され、YouTubeでも配信。若者世代の関心が高い気候問題について各党の政策担当者が直接議論し、有権者が政策を比較検討する重要な機会を提供。次世代への影響が大きい長期的政策について、党派を超えた議論の場が設けられた意義は大きい。

  • 参院選を前に、主要7党(自民、立憲民主、維新、国民民主、公明、れいわ新選組、共産)の代表者が気候変動対策を議論するイベントが6月29日に東京で開催された。維新は伝統的建築と省電力生活を、自民は最先端技術とGX経済移行債を、れいわは脱炭素社会構造への転換を主張。国民民主は電気・ガスの工夫した使用を、共産は再生エネルギー拡大による経済活性化を、公明は技術革新による両立を、立憲は炭素税によるコスト可視化を提案した。

  • 世界各地で記録的な酷暑が続いている。日本の6月は観測史上最も暑く、スペインやイタリアでも40度超えが連日続いている。気温上昇は1.5度を超える勢いで、鉄道の線路がゆがみ運休が相次ぐなどインフラに深刻な打撃を与えている。国連の報告によると、平均気温が2度上昇した場合、2100年に世界のインフラ損失は4.2兆ドル(約600兆円)に達する見通し。食料価格の高騰や経済縮小も懸念され、日本の有権者の3分の1が気候変動対策を投票の判断材料にするなど政治的関心も高まっている。

  • 中国が世界のクリーンエネルギー競争を圧倒的にリードしている。昨年は世界の他の国々を合わせたよりも多くの風力・太陽光設備を設置し、CATL等の企業が電気自動車の5分充電技術を開発。輸出額でリチウムイオン電池は中国650億ドル対アメリカ30億ドル、太陽光パネルは400億ドル対6900万ドルと圧倒的格差。2008年にアメリカが世界のポリシリコン生産の半分を占めていたが、現在は中国が90%以上を支配。BYDは世界最大級のEV工場2つを建設中で、中国は70万件のクリーンエネルギー特許を保有。一方トランプ政権下のアメリカは化石燃料の「エネルギー支配」戦略を推進し、天然ガス輸出でアジア諸国への投資を要求。両国は気候変動より経済・安全保障を優先し、世界のエネルギー覇権を巡る競争が激化している。

  • EUは2040年までに温室効果ガス排出量を90%削減する目標を発表した。1990年比での目標だが、科学者が推奨する90-95%削減には届かず、海外のカーボンクレジット使用も容認。環境団体は「国内での削減責任を回避している」と批判。加盟国の反発で目標設定が遅れ、政治的妥協の結果となった。産業界は脱工業化リスクを懸念し、科学者は気候正義の観点から不十分と指摘。なお日本は2013年を基準年とするため、同様に1990年比に換算すると日本の2040年目標は約70%削減となり、EUの野心度を大きく下回る。基準年の違いは、EUが京都議定書以来の1990年を継続使用する一方、日本は2011年の原発事故により排出量がピークとなった2013年を採用したことによると言われている。

  • GX-ETS(排出量取引制度)は、国が企業にCO2排出枠を配分し、実際の排出量が枠を超えた企業は不足分を他社から購入、逆に余った企業は売却できる仕組み。2026年度から本格運用開始。経産省が詳細設計の議論を開始し、排出量削減の代わりに使えるカーボンクレジット(森林保護等で得られる削減効果)の利用上限を実排出量の10%とする案を提示。対象は年間10万トン以上CO2を排出する300〜400社。排出量の正確性を確認する第三者検証は段階的に厳格化し、当初は書類確認中心、29年度以降は現地調査も実施。委員からは制度運用後も柔軟に見直せる仕組みを求める声が出た。25年末に最終案をまとめる予定。

  • 2025年上半期の気候テック投資は132億ドルと前年比19%減少し、累積投資額は2050億ドルに達したものの成長率は鈍化している。投資は大型案件に集中し、上位10件の平均は3億2500万ドルで、セキュリティ、レジリエンス、気候変動適応分野が注目されている。地域別では米国への投資が21%増加した一方、欧州は51%減少した。ステージ別ではシード、シリーズA、Bが減少し、特にシリーズBは29%減と最も大きな打撃を受けたが、成長期投資は微増している。エネルギー分野が総資金の35%を占め13%増加し、特に核融合への投資が目立つ。一方でバッテリーや太陽光関連企業の破綻が増加傾向にあり、データセンター関連技術や政策に左右されないビジネスモデルの重要性が高まっている。

  • オーストラリア最大のグリーン水素プロジェクト「CQ-H2」が頓挫した。建設費約1.4兆円の大規模事業だったが、製造コストが競合燃料の2~6倍と高く、2024年10月の州選挙で誕生した保守系政府が追加支援を見送った。関西電力、岩谷産業、丸紅など日本企業も相次いで撤退。補助金頼みの脱炭素事業の限界が露呈し、再生エネ大国を目指す豪州でも計画が暗礁に乗り上げている。世界的に脱炭素への逆風が強まる中、水素事業の採算性確保が急務となっている。

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  • *気候変動、脱炭素、気候テック関連のリサーチ等にも力を入れています。海外の業界動向調査やコンサルティング等、お仕事のご相談・ご依頼がありましたら、どうぞお気軽にご連絡下さい。

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