🚨 米国気象予報が崩壊、市場が代わりを担う─COP30直前、企業主導の気候テック革命が始まる

• 🇯🇵Climate Curation vol. 181 音声概要 [7:39 min.]

• 🇺🇲Climate Curation vol. 181 audio summary in English [5:54 min.]

*免責事項：要約、翻訳、編集の際にChatGPT、Claude Haiku 4.5 などの生成AIツールを使用しています🙂

*「Climate Curation」では英語圏の記事を中心にピックアップしています。日本における気候変動・脱炭素関連のニュースは毎週水曜日に配信しているJapan Climate Curationで英語で報じられているニュースを中心にまとめています。以下の【Japan Climate Curation #175】をご覧ください。

⚛️ 日本の原子力優先エネルギー戦略が加速、EV革命が自動車市場を変革 [10/22 Japan Climate Curation #175]

• 🎧 - 🇯🇵日本語での音声概要 : Japan Climate Curation vol. 175 [6:14 min.]

【⭐📰👀今週気になったニュース・トピックス】

【1】🌍 トランプ政権の気候科学検閲作戦、その代償は？ - NOAAデータ削除、気象予報精度低下で災害対応に懸念 [10/20 Financial Times]

トランプ政権は米国海洋大気庁（NOAA）の予算を2026年度に26パーセント削減し、気候変動研究の大幅な縮小を進めています。NOAAは気象予測と大気・気候データ収集を担う連邦機関ですが、職員2,000人以上の離職により、気象観測機能が急速に低下しており、気象予測精度やハリケーン予報精度への深刻な悪影響が懸念されます。さらに気象データの国際的な共有も制限される可能性があり、世界的な気象予報システムに大きな波及効果が生じることが懸念されます。こうした状況を受けて、フランスの大学が米国の科学者を受け入れる「科学亡命」制度を創設するなど、国際社会での懸念が一層高まっています。

【2】📊 2025年前半の米国、記録的な気候災害コスト 民間調査機関がトランプ政権が廃止したデータを復活 [10/22 The Guardian]

気候変動による災害の深刻化が続いています。2025年前半、米国では14件の大規模災害が記録的な総額101億ドルの被害をもたらしました。特にロサンゼルスの山火事が61億ドルで過去最高級です。Trump政権下でNOAAがこのデータセット廃止を決定したものの、Climate Centralが調査を継続しています。同時にFEMAの人員削減による対応能力低下が懸念されており、今後の防災体制強化が課題となっています。

【3】🌐 気候変動に関するCOP30会議について [10/20 WWF]

パリ協定採択から10年を迎える2025年11月、COP30がブラジル・ベレンで開催されます。地球の平均気温が初めて1.5度を突破する危機的状況下での開催という点が最大のポイント。これまでのCOPは国際ルール作りが中心でしたが、今回の焦点はそのルールを実際に実行する段階への転換にあります。途上国への気候資金が年間3000億ドルという明確な目標値で決まり、2035年のGHG排出削減目標も具体的な計画策定が求められる局面です。注目すべきは、企業や自治体が600超のイニシアティブを立ち上げ、国家政府と並ぶ重要な役割を担う構図。政府の弱体化やパリ協定離脱の動きがある中で、市場主導の気候アクションが加速します。ブラジルが主導する「国際熱帯雨林保護基金」は公的資金250億ドルを呼び水に民間投資1000億ドルを目指す野心的な仕組みで、この会議の成否は世界経済とサプライチェーンに直結する重要性を持っています。

【4】🌱 脱炭素参加、国内2000社超え - 国際組織「SBTi」、供給網全体で促進 [10/21 日本経済新聞]

国内企業によるSBT（科学的根拠に基づく削減目標）取得が急速に拡大しています。SBTiに参加する企業は2000社を超え、過去5年で20倍に増加しました。SBTは国連機関が設立した国際認定制度で、気温上昇を2度未満に抑えるパリ協定に整合した脱炭素目標として「世界標準」の認定を受けられる利点があります。2020年に中小企業向けの要件が緩和されたことで、大企業による取引先への脱炭素経営支援も進み、サプライチェーン全体での推進が加速しています。日本は世界全体の17%を占め、英国や米国を上回り最多となりました。一方で業種による参加率のばらつきが大きく、機関投資家からの要求が強まる中でも対応に顕著な差がある状況です。

【5】🌍 EU首脳が気候目標で合意、産業支援と両立 [10/24 Bloomberg]

EUの首脳らがブリュッセルの欧州理事会で野心的な気候目標達成に向けた重要な合意を発表しました。2040年までのネット排出削減目標実現に向け、エネルギー多消費産業への支援強化と規制緩和の推進で一致。2035年の内燃機関搭載新車販売禁止規制も予定されます。11月4日の気候大臣会議での正式承認の見通しが強まり、その後ブラジルのCOP30への提出が予定されています。ただし実現にはグリーン移行と産業競争力維持のバランスが継続課題として残ります。

【6】👷 英国、グリーン産業に40万人の雇用創出へ 配管工や溶接工など熟練職を養成 [10/19 The Guardian]

英国政府は、5年間でクリーンエネルギー産業に40万人の新規雇用を創出する国家計画を発表しました。エネルギー担当のミリバンド大臣は、配管工や電気技師、溶接工など31の熟練技術職を優先対象に、化石燃料産業からの転職者、学校卒業者、失業者、退役軍人、前科者などを対象とした訓練制度を展開します。新規雇用は平均給与£50,000以上で、全国平均の£37,000を上回り、沿岸部や脱工業化地域に広がる予定です。労働組合の認可と集団交渉を促進し、技術教育カレッジ5校の新設も含まれます。

【7】🌍 グリッド柔軟性が『王様』に - 分散エネルギー業界、電力危機対応の新展開を議論 [10/24 CTVC by Sightline]

DERVOS 2025はニューヨークのガバナーズ島で開催された分散型エネルギーリソース（DER）のカンファレンスです。600人以上の業界リーダーが集まり、グリッド柔軟性が電力課題の解決策だと議論しました。電力需要の急増、料金上昇、発電設備の計画遅れにより、DERsと仮想発電所（VPP）が急速に注目を集めています。従来のインフラ構築よりも、既存グリッドの効率化を通じた柔軟性の方が、迅速に電力供給能力を拡大できるという新しいアプローチが浮かり上がりました。Base PowerやVoltusといった企業が新ビジネスモデルを実装し、データセンターや電気自動車がグリッド柔軟性の重要な源泉となっています。一方、相互接続プロセスの遅延と規制の複雑さが、DER普及の主な課題として浮き彫りになりました。

【8】🚗 イオン・BYDが販売提携、EV流通に変革　独自割引で実質200万円前後 [10/20 日本経済新聞]

イオンが中国の電気自動車大手、比亜迪（BYD）と2025年内に販売提携を進めます。全国約30カ所の商業施設内に販売拠点を設置し、独自の割引施策やポイント還元を展開することで、1台200万円前後から購入できるようにします。国や自治体の補助金と合わせると、割引総額は100万円程度になる見通しです。これまで自動車メーカー系列の販売店が担ってきた国内の車の流通の枠組みを変える可能性があります。イオンは全国374店舗に約2500口の充電器を保有しており、EV利用客が充電中に買い物をするといった相乗効果を狙っています。

【9】☀️ 日産自動車、「JAPAN MOBILITY SHOW 2025」の「Tokyo Future Tour 2035」に日産サクラ「Ao-Solar Extender」を出展 [10/22 日産自動車]

日産自動車は「JAPAN MOBILITY SHOW 2025」で、軽EV「日産サクラ」に電動スライド式ソーラーシステム「Ao-Solar Extender」を搭載したプロトタイプを出展する。走行中は屋根のメインパネルで約300W、停車時に前方パネルが展開して合計約500Wの発電能力を実現。年間最大3,000km相当の走行に必要な電力を太陽光でまかない、自宅充電の手間や費用を削減できる。災害時の電源利用やエアコン消費電力の抑制も可能で、経営計画「Re:Nissan」の下、軽EV市場での日産のリーダーシップ強化を狙う。

【10】☀️ 太陽光を反射させて温暖化対策　地球工学スタートアップが6000万ドル調達 [10/24 Heatmap News]

イスラエル出身の物理学者らが率いるスタートアップ企業Stardust Solutionsが、太陽光遮蔽型地球工学技術の開発に向け6000万ドルを調達しました。大気圏に反射粒子を散布して太陽光を反射させ、温暖化の影響を緩和する技術を2030年までに実装する計画です。CEO Yedvabは配備時には各国政府の承認が必要と主張しています。しかし従来この分野を主導してきた大学やNPOとは異なり、営利企業による参入は業界の非公式規範に反するとの指摘があります。透明性の欠如、知的財産権の追求、研究内容の非公開といった同社の姿勢が国際的な太陽放射管理研究の原則に相容れないと批判されています。さらにイスラエル背景による地政学的懸念も複数の研究者から提起されており、米国とイスラエルが単独で技術を配備する可能性についての警告も出ています。

📚『NEXT GX STREAM』[10/16 アスエネ& Forbes Japan]

2025年、世界的なGX（グリーントランスフォーメーション）加速が続く中、日本は再生可能エネルギー導入率で主要国最低水準ながら、高い技術力でリード可能性を持つ。Forbes JAPANとアスエネが立ち上げた『NEXT GX STREAM』別冊は、気候変動対策40年の歴史、企業GXランキング、次世代スタートアップ50社、破壊的イノベーションを紹介。TDK、東急不動産、第一生命保険など先進企業の取り組みから、アンモニア生産技術、核融合エネルギー、データ活用まで、日本の競争優位性を示す。

【イベントのご案内】私も参加予定です。参加される方は現地でお目にかかれることを楽しみにしています🤞。

• 気候変動アクション日本サミット (Japan Climate Action Summit: JCAS）2025

• ■日時：2025年11月7日（金）14:00～18:00（終了後、交流レセプション開催）

• ■開催形式：ハイブリッド

• 会場：イイノホール（受付開始13:30）

• 〒100-0011　東京都千代田区内幸町2-1-1　飯野ビルディング4階（アクセス）

• オンライン：Zoomウェビナー

• ■日英同時通訳あり

• ■参加費無料・要事前Web登録

• ■主催：気候変動イニシアティブ（Japan Climate Initiative; JCI）

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• 気候変動、脱炭素、気候テック関連のリサーチ等にも力を入れています。海外の業界動向調査やコンサルティング等、お仕事のご相談・ご依頼がありましたら、どうぞお気軽にご連絡下さい。

では、よい週末をお過ごしください🙂🙋

市川裕康 株式会社ソーシャルカンパニー | www.socialcompany.org

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