EPA排出データ停止も米民間投資継続、中国クリーンテック「GDP10%」の現実

やっと涼しさを感じることが出来る季節になってきましたね🙂🍃
市川裕康 2025.09.20
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*「Climate Curation」では英語圏の記事を中心にピックアップしています。日本における気候変動・脱炭素関連のニュースは毎週水曜日に配信しているJapan Climate Curationで英語で報じられているニュースを中心にまとめています。以下の【Japan Climate Curation #170】をご覧ください。

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【⭐📰👀今週気になったニュース・トピックス】

  • 米環境保護庁(EPA)は、2010年から継続してきた温室効果ガス報告プログラムの停止を提案しました。全国約8,000の石炭火力発電所、石油精製所、製鉄所などの大型産業施設による排出データ収集を終了するものです。ゼルディンEPA長官は「官僚的な障害」と述べ、今後10年で企業に最大24億ドルの節約をもたらすと主張。一方、批評家は排出源を追跡できなければ削減もできない**ため、気候変動対策に重大な支障をきたすと警告しています。このデータは国連報告や民間企業の投資家向け報告に活用されていました。

  • 世界最大の排出国である中国は年間126億トンの二酸化炭素を排出し、世界全体の約3分の1、アメリカの3倍に相当します。新たな目標では温室効果ガス削減目標として10-15%程度の控えめな数値が予想されています。実際、2025年上半期には排出量が前年比1%減少するなど、既に削減の兆しが見えています。しかし、電力の60%を石炭に依存する現状から、エネルギー安全保障を理由に急激な脱炭素化には慎重な姿勢を示しています。一方で注目すべきは、クリーンテック産業の急速な成長です。太陽光発電、電気自動車、バッテリーがGDPの10%を占め、2025年上半期だけで256ギガワットの太陽光発電を追加**するなど、政府目標を大幅に上回る実績を上げています。

  • オーストラリアは2035年までに温室効果ガス排出量を2005年比で少なくとも62%削減する新たな目標を発表しました。これまでの2030年までの43%削減から大幅に引き上げ**られた形となります。アルバネーゼ首相は「科学に基づく責任ある目標」と説明し、国連総会で正式発表予定です。一方で、政府委託の報告書では既に1.5度の温暖化に達しており、より極端な気象条件への警告も示されています。野党は「コストと信頼性の面で失敗」と批判していて、国内の気候政策は依然として分裂した状況が続いております。

  • トランプ政権が太陽光発電業界に敵対的政策を展開する中、アメリカの太陽光産業は予想以上の活況を呈しています。ラスベガスで開催された再生可能エネルギー会議RE+では、業界関係者3万7千人が集結し、投資拡大への意欲を示しました。2025年は前半12ギガワット、後半21ギガワットの太陽光発電容量追加が予定されており、エネルギー分野のビジネスインテリジェンス・コンサルティング企業であるWood Mackenzie(ウッドマッケンジー)は「トランプ・バンプ」現象を予測しています。投資急増の背景には、税額控除期限前の駆け込み需要と、AI・データセンター普及による電力需要増があります。

  • 気候技術分野の主要企業や大学が手を組み、脱炭素化への道筋を示す「Climate Tech Atlas」を立ち上げました。Breakthrough Energy、McKinsey、Stanford大学などが中心となり、1年をかけて80人の専門家と共に作り上げたこの取り組みは、連邦政府への依存から脱却し、民間主導で技術革新を推進することを目指しています。建物から製造業まで24の分野で機会を特定し、39の野心的なプロジェクトも含まれています。投資家、研究者、政策立案者向けのワンストップリソースとして機能し、年間1,000人以上の起業家と面談するElemental Impactなどが活用を予定しています。2006-2012年のClean Tech 1.0の失敗から学び、より現実的なタイムラインでイノベーションを加速させる狙いです。

  • トランプ政権が気候保護と再生可能エネルギーに対する攻撃を強化する中、気候活動家たちは日曜日に全国規模の「Sun Day」集会を開催します。ベテラン活動家ビル・マッキベンが主導するこの行動には450以上のデモンストレーションが予定されており、従来の抗議活動とは異なり、太陽光発電や省エネの約束を強調する内容となっています。トランプ政権は150以上の反環境行動を実施していますが、再生可能エネルギーの成長は続いており、3月には米国のエネルギー生成で化石燃料の割合が初めて半分を下回りました。

  • 気候変動報道の優秀作品を表彰するCCNow(Covering Climate Now)ジャーナリズム賞2025が発表され、49作品が受賞しました。5年目を迎える同賞には約50カ国から1,200件以上の応募があり、32カ国・地域の118人の審査員が厳正に選考しました。年間最優秀ジャーナリストには、The GuardianのThaslima Begum氏、Noticias TelemundoのVanessa Hauc氏、ナイジェリアChannels TelevisionのAyoola Kassim氏の3名が選出されました。特筆すべきは、日本経済新聞が「サカナクライシス - 相模湾100年史にみる食卓の未来」で初めて日本のメディアとして受賞したことです。同作品は気候変動による日本周辺海域の魚種変化を130年間のデータで分析し、データジャーナリズムの優秀例として「森林・海洋・自然界」部門で表彰されました。

  • 「大気から直接」CO2回収、世界に勝てる…RITEが国内最大級のDAC実証でつかんだ手応え[9/8 スイッチ / 日刊工業新聞]

  • 大阪・関西万博も10月13日の閉幕が近くなり、最近は駆け込み訪問による混雑ぶりの様子が報道されています。9月17日&18日にはグローバルスタートアップエキスポ2025なども開催され、気候テックスタートアップ企業の出展、投資家、起業家、専門家らが登壇するイベントなども開催されました。そんな中、私も初めての万博を訪問し、『RITE(公益財団法人 地球環境産業技術研究機構): 未来の森』ツアー、そして最寄りの弁天町駅で展示中の Carbon Xtract社が開発した分離膜を利用して大気からCO2を回収する技術のデモ展示を見学する機会をいただきました。回収したCO2を活用することで、レタス🥬の栽培期間を通常の5週間から3週間程度に短縮できるとのお話を伺い、CO2利用の可能性をとても感じることができました。また、実際に稼働中、或いは実証中のDAC・CCU・CCUS技術の最先端の展示に触れることで、吸収・回収したCO2を貯留・活用する世界観、未来の姿を体感出来ることができました。

【9】🌱🚀💰 気候テック・GX関連ニュース

【10】🎟️ イベント・キャンペーン情報

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  • *気候変動、脱炭素、気候テック関連のリサーチ等にも力を入れています。海外の業界動向調査やコンサルティング等、お仕事のご相談・ご依頼がありましたら、どうぞお気軽にご連絡下さい。

では、よい週末をお過ごしください🙂🙋

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