🇨🇳⚡ 中国が洋上風力で世界制覇、トランプ政権は関税で化石燃料強要

• 🇯🇵Climate Curation vol. 173 音声概要 [18:40 min.]

• 🇺🇲Climate Curation vol. 173 audio summary in English [16:54 min.]

*免責事項：要約、翻訳、編集の際にClaude Sonet 4.0 などの生成AIツールを使用しています🙂

*「Climate Curation」では英語圏の記事を中心にピックアップしています。日本における気候変動・脱炭素関連のニュースは毎週水曜日に配信しているJapan Climate Curationで英語で報じられているニュースを中心にまとめています。以下の【Japan Climate Curation #167】をご覧ください。

⚡ 日本の電力、化石燃料依存が初めて60%割れ　洋上風力はコスト高で後退 [8/27 Japan Climate Curation #167]

• 🎧 - 🇯🇵日本語での音声概要:  Japan Climate Curation vol. 167 [22:08 min.]

• 日本は、2010年以降太陽光発電が25倍に急増したことにより、発電に占める化石燃料の割合が初めて60%を下回るという歴史的なエネルギー転換を達成しました。しかし、三菱商事が524億円の損失を計上した結果、洋上風力発電から撤退するなど、再生可能エネルギー分野には逆風も吹いています。また、トランプ前大統領の気候変動懐疑的な影響を受け、鉄鋼や化学大手も脱炭素の取り組みを縮小。ESG債の発行額も通常の社債へのシフトで8%減少しました。こうした中、日本政府は洋上風力発電の事業期間を30年から40年に延長する案を打ち出し、収益性向上を目指しています。前向きな動きとしては、ビル・ゲイツ氏の非営利団体が日本とバイオマス・水素研究で提携、スズキがインドに80億ドル規模のEV投資を発表。また、東芝は廃熱発電技術の開発を進めていますが、福島第一原発の廃炉費用は政府見通しを上回る規模に膨れ上がっています。

【⭐📰👀今週気になったニュース・トピックス】

【1】🇺🇸 トランプ氏、関税と圧力で各国に気候目標後退を迫る——再エネ否定姿勢、海外でも化石燃料推進 [8/27 The New York Times]

👉ピックアップコメント：今後の日米交渉の中でのLNGや先進燃料を含む大規模なエネルギー輸出拡大計画の行方がとても気になります🧐。

• トランプ政権は国内の化石燃料政策に加え、他国にも風力・太陽光発電から化石燃料への転換を促しています。関税や貿易制限を武器に、EUに3年間で7500億ドルの石油・ガス購入を要求。特に日本については5500億ドルの米国投資を約束させ、その一部をエネルギーインフラ生産に充て、LNGや先進燃料を含む大規模なエネルギー輸出拡大を計画しています。さらにアラスカから日本を含むアジア向けに440億ドル規模のガス輸送プロジェクトも検討中。韓国にも1000億ドルのLNG購入を約束させ、国際海事機関の温室効果ガス削減協定にも反対し、「風力は詐欺」と批判。気候変動対策の国際協力を積極的に阻害する姿勢を鮮明にしています。

【2】🌀 中国、世界最強の浮体式風力発電を実用化——高コストや反発で停滞する各国を尻目に新エネルギー分野で主導権 [8/29 Bloomberg Green]

👉ピックアップコメント：EV、太陽光だけでなく、風力発電でも中国の圧倒的な存在感を感じる内容でした。

• 洋上風力発電の競争が激化し、中国の「OceanX」など世界最大規模の浮体式風力機が技術革新と大規模生産で圧倒的なコスト優位を確立。中国は今年、世界の新規洋上風力の約75%を設置し、コストも英国の半分以下。一方、日本や欧米ではサプライチェーンの混乱やコスト高で撤退・遅延が続発。成功のカギは「技術革新×量産スケール×政策支援×運用実績」で、脱炭素には総合力が不可欠と伝えられています。

【3】🌍 中国の太陽光パネル余剰、アフリカ諸国が格安で調達——再エネ投資が急拡大 [8/26 The New York Times]

👉ピックアップコメント：アフリカでモバイルペイメントが一気に普及したように、分散型のソーラーパネルが急速に普及している様子が伺えます。

• エネルギー分析機関Emberの調査によると、中国の太陽光パネル輸出がアフリカで急拡大しています。過去1年間で15ギガワット相当の太陽光設備が輸出され、前年比60%増となりました。中国国内の過剰生産により価格が大幅に下落し、電力不足に悩むアフリカ諸国が安価な再生可能エネルギーを求めて大量購入に踏み切っています。アフリカでは6億人以上が電力にアクセスできない状況にあり、大規模な火力発電所や送電網といった従来インフラの建設段階を飛び越えて直接クリーンエネルギーに移行する「リープフロッグ」の機会として太陽光発電への需要が高まっています。南アフリカやナイジェリアが主要な輸入国となっています。

【4】💡 米国の気候変動運動、「家庭の電気料金」を論点に [8/29 TIME]

👉ピックアップコメント：気候変動対策を推進する方法として、従来の「危機を訴える」アプローチから身近な電気代高騰を訴求するという視点が新鮮でした。先週取り上げたバルコニー（プラグイン）・ソーラーパネルの普及というトレンドにもつながってますね。日経COMEMO / noteにもまとめてみました。→ 集合住宅でも安価に利用可能な「プラグイン・ソーラー・パネル」、欧州から米国へ、日本で広がるのはいつ？

• 米国の気候運動が新戦略として「家計の電気料金」に焦点を当てています。従来の地球温暖化への警告では限界があったため、身近な電力料金高騰を訴求ポイントに転換。トランプ政権による気候法解体と環境団体の人員削減で運動が迷走する中、新たな突破口として注目されています。ジョージア州では料金上昇への政治的反発が拡大し、AIデータセンター需要増が背景にあります。調査では73%の米国民が光熱費上昇を懸念し、3分の2が10%の値上げに対応できない状況。しかし料金抑制策は結果的に再生可能エネルギー導入促進と一致するため、気候目標達成の新たな道筋として期待されています。RMI調査では今後10年の電力需要の95%をクリーンソリューションで対応可能とされ、戦略転換の有効性が裏付けられています。

【5】🔌 エネルギー料金を巡る"メッセージ戦争"、本格化へ　気候政策は「家計の負担」がカギに [8/29 Heatmap News]

👉ピックアップコメント：「メッセージング戦争」という言葉で過激なやり取りが進んでいるようです。日本においては「家庭部門での身近にできて節約できる気候変動対策」がよい形で推進されることを願ってます。

• Climate Powerなどの気候変動団体が共和党議員を標的に1200万ドル規模のキャンペーンを展開し、電気料金高騰の責任を追及しています。米国の電気料金は2021年から2022年だけで10%上昇し、今年は約290億ドルの料金値上げが承認されており、昨年同期の120億ドルを大幅に上回っています。気候運動の戦略が過去4年間のジョブ創出重視から「手頃さ」優先へと転換したのは、失業率は回復したもののインフレが深刻化し、世論調査で51%の米国人がエネルギー政策の主目標を価格引き下げと回答したためです。一方、トランプ政権は風力・太陽光発電を「史上最高の電気料金上昇」の原因と主張し、石炭発電所維持を正当化するために同様のコスト論を展開しており、エネルギーコストをめぐる本格的なメッセージング戦争が始まっています。

【6】🌏 科学者たち、トランプ政権の気候変動評価に厳しい評価 [8/27 AP]

👉ピックアップコメント：トランプ政権が発表した気候変動の危険性を否定する2つの文書に対して多くの科学者が否定的な評価。Make Science Great Again というキャンペーンがあります。とても大事なメッセージだと思います。

• トランプ政権が発表した気候変動の危険性を否定する2つの文書について、AP通信が350人の科学者にコンタクトを取り、回答した64人中53人が否定的評価を下しました。文書には北極海氷の減少を説明するのに南極のデータを使用し、フランスの農業研究を米国に不適切に適用するなど基本的な誤りが多数含まれています。科学者らは情報を恣意的に選択する「チェリーピッキング」手法を厳しく批判し、「図表で嘘をつく方法のガイド」との酷評も出ています。政権は2009年の気候変動危険認定を取り消そうとしており、石炭火力発電所からの排出90%削減規制や2032年までの自動車排出規制の大幅緩和につながる可能性があり、環境団体は法廷で争う構えです。

• トランプ政権の気候変動報告書に批判続出　誤りの指摘相次ぐ、訴訟も[8/29 朝日新聞]

【7】🇯🇵 GX実行会議（第15回）/ ＧＸをめぐる情勢と今後の取組について [8/26 内閣官房]

👉ピックアップコメント：GX実行会議という会議が定期的に開催されていますが、あまり報道されてないように思います。提出資料に目を通すことで多くの学びや発見があります。ご興味のある方はぜひ📝

• 8月26日に行われたGX実行会議では、日本の脱炭素戦略を具体化する複数の施策が発表されました。特に注目すべき点として、①2026年度から本格稼働する排出量取引制度と2028年度から導入される化石燃料賦課金により、企業のGX投資の予見可能性が高まるとされています。②「GX戦略地域」制度の創設により、コンビナート跡地やデータセンター集積地などを核とした新産業拠点の形成が進み、地方創生と結び付ける取り組みが本格化する見込みです。③ペロブスカイト太陽電池やゼロエミ船、SAFなどに対する大型投資の進展とスタートアップ支援の拡充も明らかになりました。政府はGXを「エネルギー安全保障」と「産業競争力」の両立を掲げる成長戦略として位置づけており、気候テック分野では単なる環境政策を超えた新市場と産業構造の変革を加速する国家的プロジェクトとして注目されています。

【8】🌐 気候情報サイト「Climate.gov」、元スタッフの"秘密チーム"が新URLで再始動へ [8/29 CNN]

👉ピックアップコメント：10名ほどのチームで目指すのはデータセットの保存だけでなく、新しいURLでサイト構築を継続するとして資金調達も計画しているとのこと。市民の力を感じられる取り組み。

• トランプ政権により削除された気候変動情報サイト「Climate.gov」の元スタッフら約10名が、新サイト「climate.us」を立ち上げ、重要な気候データと報告書の保存に取り組んでいます。昨冬に解雇された研究者らは、エルニーニョ現象や大気中の温室効果ガス濃度など、一般向けの気候情報を新たなプラットフォームで提供予定。非営利団体の支援を受け、クラウドファンディングも計画しています。

【9】🏫 猛暑で休校相次ぐ　世界で進む教室の暑さ対策──子どもたちの学び最大1.5年分喪失も [8/26 Financial Times]

👉ピックアップコメント：国内小中学校などではエアコン設置率は9割以上と言われますが、断熱性能が低い場合など、影響を受けることと思います。様々な視点で気候変動の影響が及んでいることを思い知らされます。

• 気候変動による極度の暑さが世界の教育現場に深刻な影響を与えています。研究によると、子供たちは暑さのために学校生活で最大1.5年の教育機会を失っており、87カ国の8万校以上が気候適応策を導入しています。政府や開発銀行は数百万ドル規模のプログラムを展開し、屋根の白色塗装、植樹による日陰作り、冷房設備の設置などを進めています。ブラジルでは1億ドルの融資で暑さ対応型学校プログラムが計画され、アテネやインドでも対策が進められています。英国でも教室温度が36.3℃に達し、生徒の体調不良が報告されるなど、温帯地域でも問題となっています。

【10】🎓デューク大がビジネス×気候変動対応の新修士課程創設　気候科学に基づく実践的経営スキルを養成 [8/25 Duke University]

👉ピックアップコメント：2020年設立のコロンビア大学クライメート・スクールや、スタンフォード大学が2022年9月に新設した「スタンフォード・ドーア・スクール・オブ・サステナビリティ」などに続く動きとして注目です。

• デューク大学がビジネスと気候科学を融合した新学位「Master in Business, Climate, and Sustainability（MBCS）」を開設します。同大学のビジネススクールと環境学部が共同設計した10ヶ月間のプログラムで、ビジネス戦略、気候科学、応用分析の専門性を育成。世界経済フォーラム調査では47%の企業が炭素削減を組織変革の主因と予想する一方、BCG調査では目標達成企業はわずか11%。人材需要の急増に対応する先駆的プログラムです。

【活動紹介・ご案内】9月17日に地元浜松市で定期的に開催されているコミュニティイベント、水曜のヨル喫茶（水ヨル）で気候変動とカーボンニュートラルについてお話する機会をいただきました。浜松市役所の原田さまとの掛け合いを通じて地域で出来ることを考える機会になれば嬉しく思います。地元の方、或いは途中下車でお立ち寄りいただける方がいらしたらぜひお気軽にご参加ください🙇。詳細はこちら

• ここまでお読みいただきありがとうございました! 今回は以上となります。もしニュースレターが有益と感じられたら、XなどSNSで「いいね」や「シェア」をお願いします。みなさんのネットワークの中で、気候変動に関する情報を必要としている方に届くきっかけになれば幸いです。

• *気候変動、脱炭素、気候テック関連のリサーチ等にも力を入れています。海外の業界動向調査やコンサルティング等、お仕事のご相談・ご依頼がありましたら、どうぞお気軽にご連絡下さい。

では、よい週末をお過ごしください🙂🙋

市川裕康 株式会社ソーシャルカンパニー | www.socialcompany.org

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