🌊 海流停止でヨーロッパ氷河期の恐れ vs 加速する技術革新 ― 政策解体下でも止まらぬClimate Tech投資

こんにちは。新規登録の皆様、ありがとうございます。気候変動・脱炭素・Climate Tech関連の週間ニュースレターを配信している市川裕康です。「Climate Curation」は2022年4月の創刊以来、theLetterで700名以上、Linkedinニュースレターでは1,120名を超える方にご購読いただいております。心より感謝申し上げます。毎週直近の1週間の間に気になった記事やコンテンツをダイジェストでお届けしています。*英語版[Japan Climate Curation」は毎週水曜日配信です。併せてご覧ください📬[音声概要は日本語でも視聴可能です🎧] 少し分量が多いかもしれませんが、skim （ざっと斜め読み）も含め、お好みに応じてご活用ください🙂

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• 🇯🇵Climate Curation vol. 171 音声概要 [6:07 min.]

• 🇺🇲Climate Curation vol. 171 audio summary in English [14:24 min.]

*免責事項：要約、翻訳、編集の際にClaude Sonet 4.0 などの生成AIツールを使用しています🙂

*「Climate Curation」では英語圏の記事を中心にピックアップしています。日本における気候変動・脱炭素関連のニュースは毎週水曜日に配信しているJapan Climate Curationで英語で報じられているニュースを中心にまとめています。以下の【Japan Climate Curation #165】をご覧ください。

🌡️ 日本の記録的猛暑「地球温暖化なしには起こり得ず」科学者が証明　稲作への影響も深刻 [8/13 Japan Climate Curation #165]

• 🎧 - 🇯🇵日本語での音声概要: Japan Climate Curation vol. 165 [7:25 min.]

• 科学者らは、日本の記録的猛暑について「地球温暖化なしには起こり得ない」ことを決定的に証明し、極端な気温の発生確率が34倍に上昇したと発表した。80年ぶりの最悪の干ばつにより米価は50%急騰している。石破首相は職場での熱中症対策の義務化と、数十年ぶりとなる米生産制限の解除で対応した。熱中症による死者は年間2000人に達している。健康への影響は熱中症にとどまらず、妊婦は猛暑日に1.5倍高いリスクに直面している。北海道では昆布の収穫量が30年間で3分の2減少した。一方、屋外冷却ソリューションなどの革新技術も生まれており、2032年までに58億ドル規模の世界市場を目指している。日本の温室効果ガス観測技術衛星「いぶきGW」により、都市レベルでの温室効果ガス監視が可能となった。致命的な洪水からイベント開催の困難まで、異常気象の集中は日本の包括的な気候適応対策の緊急性を浮き彫りにしている。

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【⭐📰👀今週気になったニュース・トピックス】

【1】🌊 海流の断絶、ヨーロッパを氷河期に導く可能性 - 気候変動が戦略的脅威となる時、戦略的対応こそが求められる [8/14 The Economist]

• 大西洋子午線循環（AMOC）の停止は、地球温暖化にもかかわらずヨーロッパに深刻な冷却をもたらす可能性があります[AMOC：大西洋を横断する大規模な海水循環を指し、暖かい表層水が北へ運ばれ、それが冷えて深層に沈んだ後、再び南へ流れるという仕組み]。完全停止の場合、ブリュッセルで-20°C、オスロで-50°Cまで下がり、イングランドの農地の80%が耕作不可能になる恐れがあります。この気候転換点は軍事的脅威に匹敵する戦略的問題として、早期警戒システムの開発や政府の準備計画への反映が急務です。

• 地球温暖化で大西洋海流システムに崩壊の恐れ、欧州では氷点下48度に達する都市も[6/12 CNN]

【2】🌍 トランプ復活、環境派方針転換へ - 気候政策の解体図る政権 [The Economist]

• トランプ第2次政権による大規模な環境規制撤回が進む中、特にEPAが温室効果ガス排出規制の法的根拠である「危険性認定（endangerment finding）」の撤回を発表したことで、環境保護主義者たちは従来の連邦レベルでの規制アプローチを見直すことを余儀なくされています。 政権は石炭・ガス火力発電所の排出基準緩和やEPA予算23%削減も計画しており、気候政策が文化戦争の一部として高度に政治化されています。 このため環境保護主義者は、カリフォルニアやオハイオなど州レベルでの取り組みや、連邦フレームワークを超えた新しい戦略モデルの模索を迫られており、従来の「経路依存性」から脱却した実効性のあるアプローチが求められています。

【3】🌊 プラスチック汚染対策交渉が決裂、産油国が厳格条約に反対 - プラスチック製造制限や有害化学物質規制を巡り、各国間の溝は埋まらず [8/15 The New York Times]

• 国連のプラスチック汚染条約交渉が決裂しました。 プラスチック製造制限や有害化学物質規制を巡り、環境重視派と石油生産国が対立。特にUAE等の石油生産国は「国の手を縛らない」廃棄物管理重視の条約を主張し、包括的規制を求める環境派と真っ向から衝突しました。 OECDによると2040年までにプラスチック生産は70%増加する見込みで、現在のリサイクル率は10%未満という深刻な状況です。 草案文書には1,500ものブラケット（未合意箇所）が残り、コンセンサス方式の限界が露呈。グアテマラ交渉官は「地球が緊急に必要とする条約ができなかった」と失望を表明し、今後の交渉再開時期は不透明となっています。

【4】🌊 クリーンエネルギー革新が新局面に - 風力・太陽光への攻撃も進歩は阻めず [8/14 The Economist]

• トランプ政権が風力・太陽光発電への補助金を削減する中、他のクリーンエネルギー技術への投資は好調な伸びを見せています。 2025年上半期の気候テック企業への投資は前年同期比約60％増加し、明るい兆しが見えています。 OBBB法によりリニア発電機、地熱エネルギー、燃料電池、新型原子力などの技術は政府支援が継続されており、企業にとって長期的な確実性を提供しています。 特に注目されるのは、Amazon、Googleなどのテック大手がデータセンターの電力需要に対応するため、小型モジュール原子炉や燃料電池技術への投資を大幅に拡大していることです。 これらの技術は従来の発電方式よりも効率的で信頼性が高く、エネルギー安全保障の観点からも石油や鉱物、太陽光パネルの輸入依存を減らす効果が期待されています。

【5】🚗 BYDの「今」を直視したら中身が凄すぎた [8/4 NewsPicks]

• 中国のBYDは、わずか5年で販売台数を10倍の420万台に急成長させ、世界第7位の自動車メーカーに躍進しました。 同社は自動車だけでなく、スマートフォンの受託製造やバッテリー事業も展開し、驚異的な75%の垂直統合率を実現しています。 研究開発には12万人を投入し、総従業員数は96万人に達します。 2025年には日本の軽自動車市場への参入も予定されており、世界88カ国で販売する真のグローバル企業として、中国の民営企業序列2位の地位を確立しています。

【6】🔋 家庭用バッテリー新興企業「Base Power」、40億ドル評価で資金調達へ [The Information]

• テキサス拠点の家庭用バッテリー事業Base Powerが、40億ドル評価額で最大10億ドルの資金調達を検討中です。 マイケル・デル氏の息子ザック・デル氏が2023年に共同創業した同社は、家庭にバッテリーを設置し余剰電力を電力網に売り戻すビジネスを展開。顧客は月額19-29ドルの会員費を支払い、市場価格を下回る電気代で利用できます。 大手住宅建設会社Lennar等との提携で急成長し、6月売上は70万ドル超、2026年には7000万ドルを見込みます。 現在は中国企業から調達するバッテリーの自社生産も計画し、データセンター向け事業展開も目指しています。AIと電気自動車普及による電力需要増加を背景に、電力インフラ関連企業への投資が活発化する中での大型調達案件です。

【7】🚗 ついにタイ日系自動車部品が中国メーカーに供給　BYDの影も [8/12 日経ビジネス]

• タイの自動車市場で大きな変化が起きています。従来、日本車が9割近いシェアを誇っていましたが、中国系EVメーカーの本格参入により、シェアの1割以上を奪われました。 興味深いことに、日系部品メーカーも戦略を転換し、カヤバや日本精工などが中国系完成車メーカーへの部品供給を開始しています。 背景には中国本土での長年の取引実績があり、その人脈がタイでの新たな商機につながっています。 米中貿易戦争の影響で現地調達率の厳格化が見込まれる中、サプライチェーンの大きな再編が進んでいます。

【8】⚖️ 環境団体、気候変動軽視のエネルギー省報告書を巡り提訴 [8/15 The New York Times]

• 環境団体がトランプ政権を連邦諮問委員会法違反で提訴しました。 エネルギー省が気候変動懐疑論者5人を秘密裏に集めて報告書を作成し、これを根拠にEPAが気候汚染規制の法的基盤撤廃を計画していると主張。 同法は政策立案時の秘密グループ関与を禁止しており、透明性確保を要求しています。 環境団体は2009年の「endangerment finding」撤廃阻止も求めており、政府の気候政策における科学的根拠と透明性を巡る重要な法廷闘争となっています。

【9】📊 消えゆく米政府の気候監視、民間団体が「測定の空白」阻止へ [8/15 MITテクノロジー・レビュー]

• トランプ政権による気候変動プログラムの削減を受け、非営利団体が温室効果ガス測定の継続に取り組んでいます。 政権はバイデン前大統領の国家戦略を撤回し、EPA、NOAA、USFSなどの機関予算を削減、温室効果ガス報告プログラムの見直しやマウナロア天文台の閉鎖も検討しています。 データ財団は新たな温室効果ガス連合を設立し、カーボン・マッパーなどの人工衛星技術を活用した測定システムの近代化を目指しています。 従来の自己報告データには平均6倍の測定誤差があり、2年遅れの報告書発行という問題も抱えています。 米国地球物理学連合はIPCCへの科学者派遣や気候評価報告書の発行を支援していますが、連邦政府プログラムの完全な代替は資金面で困難であり、データの連続性や国際的責任の観点から深刻な課題が残されています。

【10】🧒 気候危機と闘う8人の子どもたち──でも、この重荷を彼らに背負わせていいのか？ - 新ドキュメンタリー「Future Council」は地球の未来への恐怖を語る子どもたちを追う。しかし監督は言う「彼らは世界を救うためにここにいるのではない」 [8/11 The Guardian]

• オーストラリアのダモン・ガモー監督による新作ドキュメンタリー「Future Council」では、世界各地の8人の子どもたちが気候危機について企業幹部に直接働きかけます。 14歳のRuby Rodgersらが黄色いスクールバスでヨーロッパを旅し、NestléやING銀行などの大企業で環境問題への取り組みを求めました。 感情的になる場面もありましたが、子どもたちの純粋な声が企業側の意識を変える瞬間も捉えられています。 現在、150人以上の子どもたちが同様の活動を展開し、実際のビジネスパートナーシップも生まれています。*前作 『2040 地球再生のビジョン』はユナイテッドピープル配給により2025年1月から国内でも上映されていました。

• ここまでお読みいただきありがとうございました! 今回は以上となります。もしニュースレターが有益と感じられたら、XなどSNSで「いいね」や「シェア」をお願いします。みなさんのネットワークの中で、気候変動に関する情報を必要としている方に届くきっかけになれば幸いです。

• *気候変動、脱炭素、気候テック関連のリサーチ等にも力を入れています。海外の業界動向調査やコンサルティング等、お仕事のご相談・ご依頼がありましたら、どうぞお気軽にご連絡下さい。

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市川裕康 株式会社ソーシャルカンパニー | www.socialcompany.org

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