🇯🇵 女性初総裁が示す「経済安保としての脱炭素」─原発・核融合へシフト、世界は銀行同盟解散

• 🇯🇵Climate Curation vol. 178 音声概要 [7:11 min.]

• 🇺🇲Climate Curation vol. 178 audio summary in English [5:56 min.]

*免責事項：要約、翻訳、編集の際にChatGPT、Claude Sonet 4.5 などの生成AIツールを使用しています🙂

*「Climate Curation」では英語圏の記事を中心にピックアップしています。日本における気候変動・脱炭素関連のニュースは毎週水曜日に配信しているJapan Climate Curationで英語で報じられているニュースを中心にまとめています。以下の【Japan Climate Curation #172】をご覧ください。

🌡️ 熱中症入院10万人突破 原発と再エネの両立に苦しむ日本[10/1 Japan Climate Curation #172]

• 🎧 - 🇯🇵日本語での音声概要 : Japan Climate Curation vol. 172 [6:48 min.]

【⭐📰👀今週気になったニュース・トピックス】

【1】【速報】自民党新総裁に高市早苗氏 女性の総裁就任は初 [10/4 NHK ]

• 高市早苗氏の自民党総裁就任は、日本の気候政策における歴史的転換点を示唆しています。彼女のエネルギー戦略は「経済安全保障としての脱炭素」という独自の枠組みを提示します。注目すべきは、2050年カーボンニュートラル目標は維持しつつも、その実現手段を原子力中心へ大胆にシフトさせる点です。既存原発の再稼働加速、SMRや核融合といった次世代技術への大規模投資を掲げ、エネルギー自給率100%という野心的目標を設定しています。対照的に、外国製太陽光パネルへの依存を「安全保障上のリスク」と位置づけ、大規模太陽光発電の補助金削減を明言しています。この姿勢は、過去十数年続いた再エネ最優先路線からの明確な決別を意味します。炭素税導入にも慎重で、産業競争力を損なわない技術革新主導の脱炭素を志向します。国際気候交渉においても、排出削減義務より日本の技術輸出を通じた貢献を重視する方針は、グローバルな気候ガバナンスにおける日本の立ち位置を再定義する可能性を秘めています。

【2】🌱 100社掲載！「すごいベンチャー」2025年最新版──気候テック領域で実装志向が強まる [10/3 東洋経済オンライン]

• 「すごいベンチャー100」は、社会を変える可能性を秘めた新興企業を毎年選ぶ特集で、2025年は10年目の節目。今回はアプリケーションへのAI実装が広く浸透する一方、独自AIモデル開発型は少数。特定業界課題に深く刺さるバーティカルSaaSが存在感を増し、ディープテックでは大手製造業出身者の参画が進んでいます。気候テック領域では、CO₂除去・再エネ・循環・電化・適応の各レイヤーで実装志向が強まり、産業・社会インフラの変革を下支えする布陣が整いつつあります。直接の排出削減・除去分野では、Helical Fusionの核融合発電やPlanet SaversのDAC技術、しろくま電力の蓄電池×再エネ小売などが登場。適応・レジリエンス分野では、SORA Technologyのドローン×AIや、HarvestXの自動授粉ロボなどが気候影響下の安定生産を支援。脱炭素を加速する基盤・電化・素材分野では、Lean MobilityやKGモーターズの超小型EV、T2の自動運転トラックなどが幹線輸送の省エネ化を推進しています。

【3】🌱 気候テック連合が急拡大　民間主導の投資・協力で新局面【米国】[10/1 Heatmap News]

• 連邦政府の気候政策後退を受け、気候テック業界では民間主導の連合形成が活発化しています。9月だけでClimate Tech Atlas、All Aboard Coalition、Oneworld BEV fundという3つの主要イニシアチブが発表されました。TEDカンファレンス主催者のChris Andersonが組織したAll Aboard Coalitionは、Khosla VenturesやDCVCなど有力ベンチャーキャピタル14社が参加し、10月末までに3億ドルのファンド創設を目指しています。後期段階の資金調達における「ミッシング・ミドル」の穴を埋めることが狙いです。Climate Tech AtlasにはBreakthrough Energy VenturesやStanford大学が参加し、脱炭素化への技術的マイルストーンを地図化しています。一方、Natron Energyの閉鎖やClimeworksの22%人員削減など、多くの企業がスケールアップ段階で苦戦しています。トランプ政権による資金撤回や契約解除が影響していますが、民間セクターは協力体制を強化し、不確実な時代における技術革新の継続を目指しています。

【4】🌎 米国気候テック、2025年上半期の資金は「産業脱炭素化・新電力インフラ・適応分野」に集中 [9/26 Latitude Media]

• Net Zero Insightsの分析によると、2025年前半の米国気候テック投資は153億ドルに達し、2024年前半の114億ドルから増加しました。政府支援は減速していますが、民間投資は拡大しています。ただし資金は後期段階の企業に集中**し、シリーズC以降の投資は33.3%増加した一方、シード投資は12.8%減、シリーズA投資は12%減少しました。セクター別では、AI需要と送電網近代化によりエネルギー生成・インフラが33.2%を占め最大シェアを維持。産業脱炭素化が19.3%と急増し、水処理や気候リスク評価を含む「ネイチャーテックと気候リスク」も13.3%に跳ね上がりました。米国の政策不確実性を受け、国内投資家の海外ベンチャー投資が過去最高の60%近くに達しています。

【5】🌍 グローバル銀行気候同盟、発足から4年で解散へ──「ネットゼロ」目標掲げた金融セクター団体、政治的圧力で加盟行次々離脱 [10/4 Financial Times]

• 世界的銀行気候同盟Net-Zero Banking Alliance(NZBA)が、発足から約4年で解散しました。米国の主要銀行がトランプ政権下で訴訟リスクや政治的圧力を受け、JPMorgan Chase、Citigroup、Bank of Americaなどが離脱し、HSBCやBarclaysなどの欧州銀行も続きました。2021年にMark Carneyの支援で設立され、最大150行が参加し500以上のネットゼロ目標を設定していましたが、当初の野心的な目標達成に失敗しました。責任投資団体は銀行の撤退を「非常に失望的」と非難し、気候変動対策からの後退に懸念を示しています。

【6】☀️ パキスタン太陽光ブーム　「完璧な嵐」が後押し [10/2 World Resources Institute]

• パキスタンで予想外の太陽光発電革命が進行中です。2026年までに電力の20%を太陽光で賄う見込みですが、これは気候政策や国家主導の産業政策ではなく、純粋な市場原理と草の根の経済合理性が原動力となっています。電気料金の3年間で155%の値上げと、中国の過剰生産による太陽光パネル価格の50%下落という「完璧な嵐」に直面した家庭、企業、農家が、政府の指示を待たずに自主的に太陽光を導入しました。特筆すべきは、YouTubeやWhatsAppで自習した起業家や地域の電気技師が非公式ネットワークを通じて普及を牽引したことです。農業では150万～200万本のチューブウェルの半数が太陽光に転換する見込みで、工業部門の電力需要も大幅に減少しました。この「人々主導」の移行は、60年間の国家補助政策でも達成できなかった農村部へのエネルギーアクセスを実現し、従来の中央集権的な計画では想像できない速度で変革をもたらしています。

【7】🌱 緑を「財布に優しい政策」に——気候変動対策を"お得さ"で選挙勝利につなげられるか？NY気候ウィークで提言、「言葉の使い方」がカギ [10/3 The Guardian]

• 今年のClimate Week NYCで最も注目されたキーワードは「affordability（手頃さ・経済性）」でした。トランプ政権のエネルギー長官Chris Wrightは「常識的なエネルギー政策で手頃さに焦点を当てる」と述べ、バイデン政権下の元長官Jennifer Granholmも「民主党は選挙に勝つため再生可能エネルギーの電気代削減能力に焦点を当てるべき」と主張しました。民主党議員は「Cheap Energy Act」を提案し、グリーンエネルギー優遇措置の復活を目指しています。一方、左派は無料交通やグリーン公共住宅など、より野心的な「緑の経済ポピュリズム」を提唱。社会主義者のZohran Mamdaniがニューヨーク市長選予備選で勝利したことがこの傾向を象徴しています。ただし、単なるメッセージングではなく実際に人々に恩恵をもたらす政策が必要だと専門家は指摘しています。

【8】🌞 米国の電力危機に「屋根上ソーラーパネル」は救世主となるか [9/27 New York Times]

• アメリカの電力網は増加する需要に対応できず停電が頻発しています。ロサンゼルスのダン・ハリソン氏は屋根上太陽光パネルとバッテリーを設置し問題を解決しました。彼のシステムは年間13,700kWhを生産し3分の2以上を電力網に供給、年間約3,600ドルを節約しています。専門家は屋根上ソーラーが電力網を支援できると指摘しますが、大規模ソーラーより高コストで富裕層のみが恩恵を受けるという懸念もあります。トランプ政権とカリフォルニア州は補助金を削減していますが、消費者は税額控除終了前に設置を急いでいます。

【9】🔬 Financial Timesによる最新気候テック解説──6つの技術で見るカーボンニュートラルへの多様なアプローチ [Financial Times]

• FTが特集する気候テック6技術は、カーボンニュートラル実現に向けた多様なアプローチを示しています。中国BYDの急速充電EV技術は5分で400km充電可能という画期的性能で「航続距離不安」の解消を目指す一方、代替肉は技術的には確立されつつも消費者の食習慣変革という課題に直面しています。エネルギー分野では、石油・ガス産業のフラッキング技術を応用した地熱発電が「常時供給可能」な再エネとして注目され、グリッドスケールバッテリーは都市規模の蓄電を可能にします。産業部門では低排出製鉄技術が登場していますが膨大なグリーン電力を必要とし、畑に岩石を散布する「促進岩石風化」はシンプルながら効果測定が困難です。

【10】🌊 米国が突然撤退　翻弄される「海に沈む」ツバルの危機 [10/4 with Planet/朝日新聞]

• 気候変動による海面上昇で2050年までに国土の半分が水没する危険があるツバルでは、首都フナフティで埋め立て工事が進んでいます。事業費1750万ドルのうち、米国バイデン前政権は265万ドルを拠出しましたが、トランプ政権は2025年1月の発足後に援助を凍結し、7月に正式撤退しました。実は米国の援助停止は2度目で、1期目にも緑の気候基金への拠出を停止していました。結局オーストラリアが資金不足分を補填しましたが、国民の約8割がオーストラリアへの移住制度に申請するなど、将来への不安が広がっています。

【イベント・テレビ番組】

【A】みんなでつくろう再エネの日 [9/27&28 Media is Hope]

先週末は2日間に渡って開催された「みんなでつくろう再エネの日」イベントに参加してきました！再生可能エネルギーの可能性、気候変動とコミュニケーションなどのテーマについてたくさんの学びで出会いをいただく機会となりました。今年で3回目の参加でしたが、今年はお笑い芸人、タレント、中高生、Z世代、専門家、スポーツ、ファッション、資本主義などなど、多様な切り口で楽しく満足度の高い2日間でした。動画でもアーカイブが公開されているのでご興味ある方は是非ご覧ください：） 1日目＆2日目

関連ブログはこちら→📰 気候変動対策についての報道と「温度感」を読む

【B】📺 1.5℃の約束 いますぐ動こう、気温上昇を止めるために──最新技術でガマンしない!みんなが得する温暖化対策 [9/28 NHK]

各局のアナウンサーが協力し、太陽光発電の新技術、CO₂を吸収する海を守る食材、万博の脱炭素技術などを体験取材。TBS×テレ朝チームは窓がカギとなる太陽光発電の新技術を、日テレ×テレ東チームは海洋保護に役立つ究極の食材を、NHK×フジチームはCO₂を空気から回収する万博の技術を紹介しました。気候テックスタートアップとして知名度の高いイノカ、シーベジタブル、CarbonXtract社らの技術も詳しく紹介されています。*配信期限10月5日(日)午前11:00／再放送予定11月22日(土)午前1:36～2:31（21日深夜）

【C】🎬 地球クライシス 第13弾　気候危機 転換への道しるべ～政治は気候変動を止められるのか？～ [9/29 BS朝日]

杉並区長の岸本聡子さんと気候活動家の平田仁子さんが、気候変動対策における政治の役割について討論しました。杉並区では、リユース容器の導入や古着回収、再生可能エネルギーの利用など具体的な施策を展開。特に注目すべきは「気候区民会議」で、無作為に選ばれた77名の区民が気候変動対策を学び、議論し、行政に提案する取り組みです。日本では市民の関心は高いものの、政治の短期的視点と気候変動の長期性のギャップから、なかなか政治の争点になりません。欧州の若者による学校ストライキが政策を動かした例に学び、市民が声を上げ続けることが重要だと強調されました。

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