2030年代エネルギー戦略 - 環境白書、核融合実証から洋上風力EEZ拡大まで

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🇯🇵Climate Curation vol. 161 音声概要 [7:40 min.]
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🇺🇲Climate Curation vol. 161 audio summary in English [16:04 min.]
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先週の英語版ニュースレター「Japan Climate Curation #155」の概要
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政府は2024年に30件の職場での死亡事故を受けて、50万円の罰金を伴う新たな熱中症対策法を施行し、同時に600億円の気候技術スタートアップ支援プログラムを開始した。しかし、中国が主要分野を支配している状況にある。中国は2021年以来最大のLNG輸入国となり、BYDが日本の180億ドル規模の軽自動車市場をターゲットにしている。また中国の自動車メーカーがタイ市場でのシェアを24%に倍増させる一方、日本ブランドは90%から65%に落ち込んだ。日本は77GWの潜在能力と10倍の容量改善を約束する地熱技術革新で対応しているが、それでも外国企業が蓄電池市場の半分以上を支配している。ガス業界は2050年目標を90%から50-90%のe-メタンに現実的に調整した。一方で、日本のEV普及率が1%にもかかわらず、7,000ドルの一人乗りEVが2,250件の予約を獲得している。
*免責事項:要約、翻訳、編集の際にClaude Sonet 4.0 などの生成AIツールを使用しています🙂
【1】📊 脱炭素と成長、同時実現目指す 除染土の利用推進も、環境白書 [6/6 共同通信]
【2】⚛️ 核融合発電の実証「30年代実現」 戦略改定、国主導で民間投資誘う [6/4 日本経済新聞]
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政府は4日、核融合発電の国家戦略を改定し、「世界に先駆けた2030年代の実証」を明記した。石破首相は官民の研究開発力強化とイノベーション拠点整備を表明。内閣府にタスクフォース設置し、法制度・予算・人材育成の課題を包括的に検討する。AI普及に伴う電力需要拡大で実用化の必要性が高まる中、米中が30年代実証を目指すなか日本の開発競争での優位確保を狙う。
【3】💰 核融合のEX-Fusion、26億円調達 新興4社で企業価値1000億円に [6/4 日本経済新聞]
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核融合スタートアップのEX-Fusionが約26億円を調達し、企業価値が121億円から161億円に上昇した。同社はレーザー方式で2030年に発電実証、2040年頃の商用化を目指す。国内核融合新興4社の企業価値は合計1000億円超に達し、世界全体では2024年に累計71億ドルの資金調達を記録。政府が2030年代の発電実証を国家戦略に位置づける中、投資マネーの流入が活発化している。
【4】🌊 洋上風力発電の導入促進へ EEZ内設置に向け改正法が成立 [6/4 WIND JOURNAL]
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日本の排他的経済水域(EEZ)内での洋上風力発電設備設置を可能にする改正法が6月3日に成立。これまで領海内に限られていた設置海域が大幅に拡大される。国が風況や海底地盤などの条件が適した区域を指定し、事業者の計画案提出を求める仕組み。英国の2段階方式を参考に、仮許可後に利害関係者との調整を経て最終許可を行う。世界第6位の面積を誇る日本のEEZを活用し、浮体式洋上風力の大規模展開が期待される。
【5】⚡ エネルギー需要管理はなぜ脚光を浴びるようになったのか - テクノロジーと電力の融合 [6/5 The Economist]
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電力需要管理がついに脚光を浴びている。AI・データセンターの急成長により電力需要が急増する中、従来の大型発電所建設は規制やコスト面で困難に。そこで注目されるのがVirtual Power Plants(仮想発電所)だ。電気自動車、太陽光パネル、蓄電池などの分散型エネルギー資源を統合管理し、ピーク需要時の電力供給を支援する。市場規模は2025年の350億ドルから2035年には1270億ドルへ成長予想。Con Edisonは12億ドルの設備投資を2億ドルの分散型資源で代替した事例もある。
【6】🔄 「ネガティブエミッション」取引市場創設へ攻防 - 英政府がCO2除去技術支援、現行制度弱体化の声も [6/4 Financial Times]
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英国政府が炭素取引制度の大幅見直しを検討している。現在は企業がCO₂を排出すると罰金のような費用を払う仕組みだが、新制度では大気中のCO₂を除去した企業にクレジットを発行し、排出企業がそれを購入できるようになる。つまり「減らす」のではなく「取り除く」ことでもペナルティを相殺できる仕組み。しかし専門家は「企業が排出削減の努力をやめてしまう危険性がある」と懸念している。
【7】🌋 地熱発電所開発、温泉地以外でも可能に 三菱商事など新技術 [6/2 日本経済新聞]
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三菱商事などが次世代地熱発電開発に参入。従来の1000-1500mより深い地下2000m超の地層から熱回収し、温泉地以外でも開発可能に。米クエイズ・エナジーはミリ波技術で3000-2万mの掘削を実現、1本の井戸で従来の最大10倍の発電能力を実現。東洋エンジニアリングもインドネシアでクローズドループ方式を実証予定。AI向けデータセンター需要拡大で安定電源としての期待が高まっている。
【8】🚗 ネパール、世界最速級のEV市場に成長 [FastCompany]
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ネパールは世界で最も急成長するEV市場の一つとなっている。新車販売におけるEVの割合は65%で、これは米国の9%を大きく上回る。2021年7月の政府によるEV輸入関税・物品税の大幅削減が主な要因で、3輪車の採用率は1%未満から83%まで急上昇した。ネパールでは燃料が高価なため、EVの運用コストは従来車の10分の1以下となる。水力発電主体のため充電もクリーンで、2030年までに私用車のEV採用率90%を目指している。
【9】🇨🇳 BYD、日本の軽自動車市場に本格参入へ [6/1 Financial Times]
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中国BYDが2026年後半、日本の軽自動車市場に参入予定。年間180億ドル規模で日本車市場の約40%を占める同分野で、トヨタ・ホンダ・日産の長年の支配に挑戦。低コスト軽EV投入により、現在290万円のドルフィンより安価な価格設定を目指す。日本での外国ブランドシェアは6%未満で、消費者の国産志向や中国ブランドへの不信が課題。年間15,000台販売を目標とし、店舗数を現在の61から100に拡大予定。
【10】🌡️ 職場の熱中症対策 1日から義務化に どんな対策が? [6/1 NHK]
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職場での熱中症対策が6月1日から企業に義務化された。2024年の職場熱中症死傷者は過去最多の1257人、死亡者31人という深刻な状況を受けた措置。企業は連絡体制整備、医療機関搬送手順策定、職場周知が必要で、違反すれば6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金。対象は暑さ指数28以上または気温31度以上の環境での長時間作業。帝国データバンク調査では、義務化された報告体制構築は15.2%、緊急連絡先周知は13%の企業にとどまり、対策強化が急務。
【イベント登壇・参加のお知らせ】
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6月11日(水)『FDSF PEST Conference 2025~政治・経済・社会・テクノロジーの国際情勢を踏まえたサステナブルファイナンスの現状と展望~』(主催:一般社団法人科学と金融による未来創造イニシアティブ / 協力:Archetype Ventures)にモデレーターとして登壇の機会をいただきました。*いよいよ来週開催です。当日参加される方はぜひお声掛けいただけたら嬉しく思います。 / 詳細・お申込(無料):https://fdsf.jp/conference/2025
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6月20日(金)18:30 - 20:30 / 開催場所:STATION Ai『【GX】共創から生まれる未来の脱炭素経営 / 愛知県STATION Ai開催!』(主催:CIC Tokyo環境エネルギーイノベーションコミュニティ )/ 詳細・お申込(無料):https://decarbonizing-management.peatix.com/
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*気候変動、脱炭素、気候テック関連のリサーチ等にも力を入れています。海外の業界動向調査やコンサルティング等、お仕事のご相談・ご依頼がありましたら、どうぞお気軽にご連絡下さい。
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市川裕康 株式会社ソーシャルカンパニー | www.socialcompany.org
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