気候変動問題の解決策を広めるには、分かりやすく伝えることが大切:調査結果から

【1】🥵🫠【徹底解説】今年の夏が記録的な猛暑になる3つの理由
【2】日本の気候変動政策を決めているのは、「脱炭素に消極的」「50〜70代」「男性」ばかり?
【4】気候変動問題の解決策を広めるには、分かりやすく伝えることが大切
市川裕康 2024.07.20
誰でも

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【⭐📰👀今週気になったニュース・トピックス】

今年の夏が「激アツ」になりそうであること、そして「世界はアナザーワールドの入口に来ている」こと、例えば「夏の気温は40度」が当たり前になってしまうような世界、つまりこれまでの異常気象が普通になる世界について、分かりやすく解説がされています。

今週SNS上でも話題になっていたこちらの記事。気候変動対策、次期エネルギー基本計画を策定するための議論がどのように行われているのか、課題はどこにあるのか、とても詳しく紹介されています。

*先週実験的に作成した「第7次エネルギー基本計画・脱炭素・GX関連審議会情報ポータル」ですが、少しずつ情報を追記・整理を試みています。

第7次エネルギー基本計画策定に向けて議論が始まっている中で、青年環境NGO「Climate Youth Japan」、「Fridays For Future Tokyo」、「持続可能な社会に向けたジャパンユースプラットフォーム」(JYPS)などの若者団体の訴えや活動について詳しく紹介されています。

今週特に気になったレポートのタイトルは「G20とそれ以外における気候変動対策を加速させるメッセージングの包括的分析」。気候変動コミュニケーションに関する米イェール大学プログラムと、グローバル戦略コミュニケーション協議会の協力のもと実施された、世界中の6万人近くの人々を対象に調査レポートが公開されています。

ほとんどの人が気候変動に対処するための措置を広く支持している一方で、実際の解決策について語るために私たちが使っている言葉は、ほとんどの人の心に響いていないことが分かったと指摘されています。

  • 科学者が使う奇妙な言葉は意味を成さず、政治家が使う経済重視の言葉はつながらない

  • 気候変動対策の効果的なコミュニケーションは、経済用語ではなく、より良い未来の創造に焦点を当てるべき

  • クリーンエネルギーの需要を喚起するには、親しみやすい言葉を使い、禁止よりも改善を強調する

  • 「なぜ」に寄り添う: テストでは、より安全でクリーンな、より良い未来という強力な「理由」から始まるメッセージや広告は、イノベーションや経済成長の原動力としてのクリーンエネルギーを強調する広告よりも10倍もパフォーマンスが良かった。 「次世代のために地球を守る」というメッセージは、あらゆる国、政党、性別、年齢、収入において、気候変動対策に対する人々のモチベーションを最も高めるものだった。

image credit:Potential Energy Coalition

image credit:Potential Energy Coalition

  • 禁止ではなくアップグレードに焦点を当てる:平均すると、「義務化」、「禁止」、「段階的廃止」という言葉を使うことは、解決策に対する人々の支持を著しく低下させる。 その代わりに、アップグレード、基準の設定、解決策を利用しやすくすること、依存を減らすことを通して、人々の生活水準を維持または向上させることについて話すと、かなり良い結果を出した。

  • 人間らしく話す:朝起きて、"脱炭素化にとって素晴らしい日だ "と言う人はいない。 科学的な専門用語は避け、心に響かない言葉は避ける。 私たちが調査した中で、1.5度目標や2015年のパリ協定をよく知る人はわずか20%でした。 汚染、過熱、異常気象など、人々の日常生活に馴染みのある言葉を使い、解決策が家族や隣人の生活をどのように改善するかを強調する。

燃料電池向け水素ステーションの稼働状況データに関する調査に基づいた記事。ふわっとした知識で語るのではなく、何事もデータ、エビデンスを踏まえながら議論することが大切と感じる内容でした。

"人口70万人超の相模原市。燃料電池車向け水素ステーションが1カ所ある。2023年に3カ所あったのが減った。神奈川県全体でも燃料電池車の保有数は23年3月時点で567台。普及の期待が膨らまないうちにインフラも縮小した。"

沖縄宮古島の革新的な仮想発電所システムについて詳しく取り上げられています。900世帯以上の太陽光パネルと蓄電池を組み合わせた仮想発電所システムにより導入電気代が削減され、停電時の対応力も向上。この技術は他の地域にも拡大可能で、エネルギー配分を革新する可能性があるとのことです。

【7】トランプ2.0が環境にもたらすもの - ドナルド・トランプがホワイトハウスに戻れば、環境保護庁を劇的に作り変えるための法的・官僚的障害は少なくなるだろう[7/16 New York Times Gift URL🎁]

先日開催された米共和党党大会においてトランプ大統領候補が指名を正式受諾したことを受けて、トランプ氏が大統領に就任した際の気候変動対策に関する分析、予測記事が数多く掲載されています。米国だけでなく、世界的に影響が及ぶ可能性が高いだけに今後の動向に注目です。

  • トランプ氏の再選は、環境規制の撤廃をより効果的に進める可能性がある。

  • 最高裁の保守的多数派により、トランプ氏の環境政策に対する法的障害が減少する可能性がある。

  • 計画には、EPA の再編成、気候変動政策の標的化、キャリア職員の解雇を容易にすることが含まれる。

海外テックトレンドについての解説で人気があるポッドキャスト、オフトピック。今回は気候テック分野で注目が集まっている炭素除去(Carbon Dioxicide Removal=CDR)に取り組んでいるStripe Climate / Frontierのナン・ランソホフ氏をゲストに迎えてのインタビュー。日本人インタビュワーによる英語でのインタビューですが日本語字幕がついていることもあり、なぜCDRに注目が集まっているかを理解する上で参考になりそうです。

【9】気候テック解説特集 [7/10 & 17 Financial Times]

老舗ビジネス紙のFinancial Timesにおいても気候テックの解説特集を掲載、8つのテーマが紹介されています。国内においては気候テックというラベルで一括りにされることはないかもしれないものの、こうしたGX、脱炭素分野の新しいテクノロジー、イノベーションについての期待を感じる特集です。

肥料(fertiliser)、ヒートポンプ(heat pumps)、SAF - 持続可能な航空燃料(sustainable aviation fuels)、炭素回収&除去(carbon capture and removal)、DAC- 直接空気回収技術(direct air capture)、メタン抑制剤(methane inhibitors)、系統用蓄電池(grid-scale battery storage)、低排出鉄鋼製造プラント(low-emission steel plants)

  • 映画に気候危機が反映されているかを測るものさしとして、「作品に気候変動が存在するか」、「登場人物が気候変動を知っているか」の二つを満たせば合格とみなす「気候リアリティーチェック」について紹介されています。

  • 作品の興行収入の平均は、気候変動を扱わないものより扱っているもののほうが1割高かったという点もとても興味深い指摘。

  • 気候変動についての国際的な交渉や国際政治について詳しい八田記者のイチオシドラマシリーズとして、デンマークの政治ドラマ「コペンハーゲン」シリーズ完結編の「権力と栄光」(2022年)が紹介されています。

「Borgen(ボーゲン)」(日本語タイトル:「コペンハーゲン」)はデンマークの人気政治ドラマシリーズで、2010年から2022年にかけて4シーズン、全38エピソードからなります。ぜひ今年の夏休みに観る作品リストに追加したいと思いました🍿。

【イベント登壇のご案内】

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ここまでお読みいただきありがとうございました! 今回は以上となります。もしニュースレターが有益と感じられたら、同僚、ご友人、或いはSNS等でご興味ありそうな方に共有いただけたら嬉しいです🙂。

*気候変動、脱炭素、気候テック関連のリサーチ等にも力を入れています。海外の業界動向調査やコンサルティング等、お仕事のご相談・ご依頼がありましたら、どうぞお気軽にご連絡下さい。

では、どうぞよい週末をお過ごしください🙂🙋

市川裕康 株式会社ソーシャルカンパニー | www.socialcompany.org

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