DeepSeekショックが変える気候変動への常識

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先週の英語版ニュースレター「Japan Climate Curation vol. 138」の概要
[2025年初頭、日本はエネルギー転換において複雑な課題に直面している。第7次エネルギー基本計画案は、2040年までの再生可能エネルギー目標を40-50%に設定し、CCS(二酸化炭素回収・貯留)などの議論の多い技術への依存を続けていることから批判を受けている。また、日本の若者は世界の同世代と比較して気候問題への関心が顕著に低い傾向にある。
国は2050年までに年間120-240百万トンの貯留を目指す大規模なCCSプロジェクトなど、複数の戦略的イニシアチブを推進しているが、一部では「カーボン・コロニアリズム」として反対の声も上がっている。インフラ開発では地域ごとの活性化が見られ、北海道ではデータセンターによる電力需要の大幅な増加が予想される一方、政府は洋上風力発電プロジェクトへの新たな支援策を導入している。
運輸部門では、乗用車での普及は限定的ものの、水素技術が商用利用において有望視されており、日本の投資家は革新的なカーボンリサイクル技術に積極的な投資を行っている。]
【⭐📰👀今週気になったニュース・トピックス】
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DeepSeekの最近の発表により、AIの環境への影響に関する従来の想定が覆され、予想されていたよりも電力消費が少ない可能性が示唆されました。データセンターは現在エネルギー需要の増加を促していますが、AIと気候変動の関係は複雑で多面的です。この技術は、エネルギー消費の増加や経済成長による排出増加などのリスクと、再生可能エネルギーの最適化や核融合におけるブレークスルーなどの機会の両方を提示しています。その影響は電力部門の直接的な懸念を超え、段階的な改善とゲームチェンジングなイノベーションの両方を通じて、気候変動への取り組み方を革新する可能性があります。
【2】資源の乏しい日本は、AI エネルギーの急増に備えていた。DeepSeek は、その賭け金を高めた[1/31 Reuters]
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エネルギー輸入に大きく依存する日本は、DeepSeekの台頭を受けて電力需要予測の見直しを迫られています。最近、日本はAI関連の電力需要増加を見込み、2040年までに発電量が10-20%増加すると予測を修正しました。しかし、DeepSeekのエネルギー効率の高いAIモデルは、将来の電力需要に関する議論を引き起こしています。一部の専門家は消費電力の削減を予測する一方で、AI開発コストの低下がむしろ普及を促進し、全体的な需要を増加させる可能性があると指摘しています。
🙋早速DeepSeek使ってみてます。例えば生成AI検索のPerplexityではDeepSeekのR1というモデルを実装しているのでとても便利です。オープンソースだからこその今後のこうした広がりも楽しみです。
「deepseek が将来のエネルギー需給予測や気候変動対策にもたらす影響・インパクト」というキーワードでPerplexityにDeepseek R1モデルを使って調べた結果はこちらです。出典の記事も54件もリストアップされています。
【3】温室効果ガス削減案を順調に見せる「政府のやり方」に猛ツッコミ 環境団体が指摘する「欧米基準とのズレ」[1/31 東京新聞🔏]
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政府が2月に閣議決定予定の第7次エネルギー基本計画案に対し、環境団体や専門家から批判が集中しています。日本は2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロを目指していますが、2030年46%削減、2040年73%削減という中間目標が不十分だと指摘されています。また、2013年を基準年としている点も、原発停止による一時的なCO2増加時期を選んでいるとして批判されています。さらに、2040年の再生可能エネルギー比率4~5割という目標も、国際的な基準から見て低すぎるとの指摘があります。
【4】Decarbonization: 2021 Things, The Complex, Reagents [1/30 Annual Presentation by Nat Bullard]
気候・エネルギー分野の専門家でインフルエンサーでもある Nat Bullard 氏(元ブルームバーグNEF)による、毎年恒例のプレゼンテーションスライドが公開されました(今年で3年目)。全200ページに渡り、米国が世界最大の石油・LNG輸出国になったこと、中国は最大の石油輸入国だが需要はピークアウトの可能性、再エネ・気候テックの投資・市場動向、ESG(言及は減少も資産は微増)、炭素除去スタートアップの過剰(約500社)、炭素クレジット(発行量減少)、EV市場の進化などについて詳しい情報が満載です。
スライドデックの1ページ目は「京都の桜の満開日:1820年代以降、満開までの日数が早まっている」ことを示すデータが紹介されています。

image credit: Nat Bullard
【5】いま『ドント・ルック・アップ』が再注目? LA山火事で気候変動がより痛烈テーマに ─ 「指導者が、大手メディアが、あらゆる業界が嘘をついていた」[1/26 THE RIVER]
「ドント・ルック・アップ」(2021年 Netflix)の気候変動に対する態度への影響を調査した最近の研究では、映画とターゲットを絞ったマーケティングコンテンツを組み合わせた際に、公衆の認識が大きく変化したことが示されています。10カ国で実施された研究では、映画とレオナルド・ディカプリオが出演する補足映像の両方を視聴した視聴者が、気候変動への懸念の増加、社会的脅威の認識の向上、行動を起こす可能性の上昇を示しました。最近のLA山火事を受けて、映画への関心は継続していて、アダム・マッケイ監督は4億から5億人の視聴者数と気候変動をテーマにした続編の計画を予定しているとのことです。
「ドント・ルック・アップ」の影響力: ブロックバスター映画とそのマーケティングが気候変動への意識を変える [2024/9/24 Rare]
【6】【解説】LA山火事、気候変動で35%起きやすくなっていた - 「数年もあれば、燃え広がりやすい環境が戻ってくる」と専門家 [2/1 ナショナル ジオグラフィック]
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2025年1月にロサンゼルスで発生し、1万4000ヘクタール以上を焼失、20人以上の死者を出した大規模山火事について、国際研究チームが気候変動との関連性を分析しました。その結果、気候変動により火災発生の確率が産業革命前と比べて約35%上昇していたことが判明。さらに、干ばつ状態の発生確率は2.4倍に増加しており、温暖化が抑制されなければ、2100年までに同様の火災の発生確率は約80%上昇すると予測されています。
【7】資本主義で解決する再生可能エネルギー: 排出ゼロをめぐるグローバル競争の現在進行形 [1/21 河出書房:アクシャット・ラティ著]
ブルームバーグ・グリーンの気候変動担当ジャーナリスト、アクシャット・ラティ氏が2023年10月に出版した「Climate Capitalism」がついに日本語邦訳版として出版されたようです。当時ニュースレターでもご紹介したのですが、気候変動対策のテクノロジー・解決策、その背景で活躍する人物約12名ほどが主要人物が登場し、その人の生い立ち、取り組み、そして歴史的な背景も踏まえながら、「気候変動対策」と「資本主義」が共存しうる、という力強い事例を丁寧に伝えていく構成となってます。おすすめです📚🙂。
🎟️イベントのご案内
【1】2月4日〜6日に愛知県名古屋市で開催される大規模テックイベント「TechGALA」。お隣の県での開催ということで私も訪問予定です。もし参加検討中でチケット購入前の方がいらしたら割引コードなどあるのでお知らせください。公式ガイドも公開されていて、会場アクセス、スケジュール、注目のセッションなども見つけやすくなってます。
【2】2025年5月8日から10日まで東京ビッグサイトで開催されるスタートアップカンファレンス「SusHi Tech Tokyo 2025」(主催:東京都)。今年は前回より会場面積が1.3倍に拡大予定で、都市技術ソリューションとイノベーションに重点を置いているとのことです。
私も昨年の「SusHi Tech Tokyo」、そして一昨年の「シティ・テック・東京」に参加してきましたが、気候テックスタートアップや大企業、海外の起業家・投資家など、多様な方が参加されていてとても刺激を受けました。今年も参加することを楽しみにしています🚀
ここまでお読みいただきありがとうございました! 今回は以上となります。もしニュースレターが有益と感じられたらSNSなどで「いいね」や「シェア」をお願いします 🙇♂️[ハッシュタグ: #ClimateCuration ] みなさんのネットワークの中で、気候変動に関する情報を必要としている方に届くきっかけになれば幸いです🙂。
*気候変動、脱炭素、気候テック関連のリサーチ等にも力を入れています。海外の業界動向調査やコンサルティング等、お仕事のご相談・ご依頼がありましたら、どうぞお気軽にご連絡下さい。
では、では、よい2025年を、良い週末をお過ごしください🙂🙋
市川裕康 株式会社ソーシャルカンパニー | www.socialcompany.org
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