太陽光発電時代の幕開け / 若者が変える世界:ハワイ気候訴訟から米国気候部隊まで
【4】ハワイ気候変動訴訟 州と原告の若者たちが和解 「画期的」と歓迎
【5】ホワイトハウス、米国気候部隊(Climate Corps)の第一期生のために宣誓式
【6】暑さと異常気象が数十億人を襲っている
こんにちは。新しく登録してくださったみなさん、ありがとうございます。直近1週間の気候変動・脱炭素・Climate Tech関連の国内外のニュース・トピックをご紹介するニュースレターを配信している市川裕康と申します。継続して読んでくださっているみなさん、いつもありがとうございます。おかげさまで「Climate Curation」は2022年4月にスタートして、今年2月からは新しい配信サービスtheLetterにおいて640名を超える方に購読頂いてます。2023年9月から配信をスタートしたLinkedinニュースレターでは1,000名を超える方に登録いただき心より感謝いたします。
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【⭐📰👀今週気になったニュース・トピックス】
【1】太陽光発電の急激な成長が世界を変える - エネルギー豊かな未来は手の届くところにある [6/20 The Economist 🎁☝️Gift URL]
『太陽光発電時代の幕開け』という今週のThe Economistのカバー特集記事ではこれまでの太陽光発電の驚異的な成長と、今後の希望的な可能性について詳しく報じられています。
-世界の電力の約6%を供給。10年前は1/10 の規模
- 太陽光発電の設置容量はおよそ3年ごとに倍増し10年ごとに10倍に
- 太陽電池は2030年代半ばには地球上で唯一最大の電力源になる可能性が高い
【2】Sun Machines - ますます安価になるエネルギー源であるソーラーは、巨大な存在になるだろう[6/20 The Economist]
国際太陽エネルギー協会によれば、太陽光発電の発電量は、2026年には全世界の原子力発電所を、2027年には風力タービンを、2028年にはダムを、2030年にはガス火力発電所を、2032年には石炭火力発電所を上回る勢いとのことです。今世紀半ばまでに二酸化炭素排出量を正味ゼロにするIEAシナリオでは、太陽エネルギーは2040年代までに、電力だけでなく一次エネルギーの人類最大の供給源となるとも伝えています。
Image Credit: The Economist
【3】キヤノン、曲がる太陽電池の素材開発 ENEOSは原料増産 [6/17 日本経済新聞]
"キヤノンは薄くて曲がるペロブスカイト型太陽電池の耐用年数を2倍の20〜30年に延ばせる素材を開発。ENEOSホールディングスは主原料となるヨウ素の生産能力を2倍に増やす。再生可能エネルギーの活用策として有望視される新技術を素材の面から後押しする。"
海外に目を転じると例えば以下のような企業がトップ10企業としてリストアップされています。1〜2年後にどのような進化がされているのか、日本の企業の活躍にも期待しています:)
*グリーンエネルギーの巨人たちペロブスカイト太陽電池トップ10社 [2024年6月 Verified Market Report]
Hanwha Q CELLS (韓国) / Microquanta Semiconductor (中国) / Greatcell Energy(オーストラリア) / Oxford PV (イギリス) / Saule Technologies(ポーランド) / CubicPV(アメリカ) / エネコート・テクノロジー(日本) / P3C(インド) / PEROVSKIA SOLAR AG(スイス) / Swift Solar(アメリカ)
【4】ハワイ気候変動訴訟 州と原告の若者たちが和解 「画期的」と歓迎 [6/22 毎日新聞]
これはすごい、と感じるニュース。既に「画期的」「歴史的」と様々なメディアで報じられてますが、若者による気候変動訴訟の取り組みが継続的にインパクトをもたらしています。一連の訴訟を支援する弁護士事務所「Our Children's Trust」は画期的な「勝利」としてステートメントを公表しています。
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米ハワイ州の若者たちが州政府を相手取り、運輸部門の脱炭素化に向けた行動を加速するよう求めた訴訟で20日、和解が成立。
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2022年6月、州の運輸部門の脱炭素化の遅れが州憲法に違反しているとして10代を含む若者13人が提訴
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州と原告側の発表によると、和解での合意では、子どもたちが「生命を維持できる気候」を享受する州憲法上の権利を認めた。そのうえで、州政府は45年までに全ての陸上交通と、海上と航空の輸送で脱炭素を実現するため、1年以内に具体的な計画を策定する。
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州交通局に気候変動への取り組みを助言する若者協議会を設けるほか、5年以内に歩道や自転車道を整備し、30年までに電気自動車の充電インフラ整備に少なくとも4000万ドル(約63億8800万円)を投じる。
バイデン政権が開始した連邦プログラム「American Climate Corps("アメリカ気候変動隊")」が第一期生の宣誓就任を行ったと報じられています。気候関連の役割に若者を雇用することを目指し、18〜26歳の若者を主な対象とし、20,000人の参加者を目標としているプログラムです。過去には海外の国際協力支援のための「Peace Corps(平和部隊)」、国内ボランティアプログラムのための「AmeriCorps」などのプログラムがあり、日本の海外青年協力隊のモデルになっているこうしたプログラムが、現代の課題である「気候変動」問題の解決にどのような役割を果たすことができるのか、注目です。具体的な求人情報はこちらのウェブサイト [ https://www.acc.gov ]から閲覧が可能。
【6】米国をはるかに超え、暑さと異常気象が数十億人を襲っている - 世界中の人々が、化石燃料の使用によって悪化した厳しい暑さ、洪水、火災に直面している。今年はまだ半分も終わっていない [6/21 New York Times 🎁GiftURL]
"ここ数週間、世界各地で猛暑による死者が相次いでいる。今週は1億人近いアメリカ人に猛暑が襲いかかり、異常気象の世界的な危険性を痛感させる。メキシコでは5月から6月にかけて数十の都市で暑さの記録が更新され、100人以上が死亡した。インドでは、非常に長い熱波が続き、何人かの選挙労働者が死亡した。今週、首都デリーでは、一晩中気温が華氏90度台半ば、摂氏30度台半ばを記録した。ギリシャは今週、山火事に備えている。マリの首都バマコでは、4月最初の4日間で100人以上が死亡したと病院から報告されたとAP通信が伝えた。サウジアラビアではメッカ巡礼期間中に最高気温51.8度の猛暑の中、1000人超が死亡とも報じられています。
*異常気象と気候変動との関連性について、国内でも今後意識的に報じられていくことを期待しつつ、最近は国内報道と海外、例えばBBCの報道を比較しながら視聴してます。
【7】炭素市場の議論をやめ、その構築を始めよう [6/18 Financial Times]
元イングランド銀行総裁で温暖化ガス排出実質ゼロを目指す金融機関の有志連合「グラスゴー金融同盟(GFANZ)」の共同会長であるマーク・カーニー氏によるオピニオン記事。
途上国や新興国の脱炭素化に必要な資金を確保するためにはボランタリーカーボンクレジットが重要な役割を果たすと指摘しています。5月下旬には米国政府がボランタリークレジットの活用指針を発表する中、カーボンクレジットの有効活用を後押しする動きが続いているようです。
【8】気候テックの隠れたスターであるMIT教授 - イェット・ミン・チャン氏
MIT教授でありながらこれまでにclimate tech スタートアップを5社設立したイェット・ミン・チャン教授についての記事があり、とても興味深かったです。日本の大学で優れた技術を持った研究者の方にとっても示唆に富む視点や考え方があるのではと思ったのでピックアップしてみました。
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1984年からMIT教授を務めるイェット・ミン・チャンは、複数の成功した気候テック企業を共同設立。
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彼の事業にはForm Energy(エネルギー貯蔵)やSublime Systems(低炭素セメント)などが含まれる。
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66歳の今も活発で、昨年は気候ソリューションに焦点を当てた3つの新しいスタートアップを立ち上げた。
【9】総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会(第57回会合)[6/17 経済産業省 資源エネルギー庁]
第7次エネルギー基本計画の策定に向けて様々な議論、有識者のヒヤリングの機会などが設けられていて、動画のアーカイブ、PDF資料などもオンラインで公開されています。資料として国内外のエネルギー政策、気候変動対策に関しての興味深い議論、データ、資料なども含まれていると感じます。以下は6月17日に開催されたもので、一般財団法人日本エネルギー経済研究所、マッキンゼー、株式会社三菱UFJ銀行の代表の方によるプレゼンテーションと質疑応答が記録されています。どのようなやり取りがされているかを理解する上でも参考になるのではと思い、共有させていただきます。
【10】グリーン戦争―気候変動の国際政治 [6/19 中公新書 / 上野貴弘 著]
まだ読み始めたばかりですが、ビジネス、気候テック、アクティビズムだけでなく、国際政治の文脈でも気候変動について考える際に参考になりそうな1冊と思いました。また読了した際には報告・共有させてください:)
"人類共通の課題、気候変動。各国はこれを解決すべく、温室効果ガスの排出削減を目標に掲げ2015年にパリ協定に合意した。しかし17年、トランプ米大統領が協定脱退を宣言。中国やインドなど新興国が条件闘争をはじめ、国際協調が動揺している。本書は米国、欧州、新興国の利害が錯綜する政治力学を、産業、貿易、金融、エネルギーの観点から解き明かす。激しい国家間対立の終結を目指して、世界、日本が進むべき道とは。" (出版社ホームページより)
ここまでお読みいただきありがとうございました! 今回は以上となります。もしニュースレターが有益と感じられたら、同僚、ご友人、或いはSNS等でご興味ありそうな方に共有いただけたら嬉しいです🙂。
*気候変動、脱炭素、気候テック関連のリサーチ等にも力を入れています。海外の業界動向調査やコンサルティング等、お仕事のご相談・ご依頼がありましたら、どうぞお気軽にご連絡下さい。
では、どうぞよい週末をお過ごしください🙂🙋
市川裕康 株式会社ソーシャルカンパニー | www.socialcompany.org
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