残酷な夏の到来 / 気候テックの台頭と求められる目利き力
【3】気候変動 8割が自国の対策強化望む 目立つ日本人の「わからない」
【5】K-POPファンが現代自動車動かす - 推し活のためには地球も救う
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【⭐📰👀今週気になったニュース・トピックス】
【1】本当に残酷な夏の到来 - 猛暑は例外ではなく、常態化しつつある [6/26 The Economist *🎁Gift URL]
国内の報道でも最近頻繁に取り上げられていますが、世界中の猛暑がもたらしうる多数の死者、大きな経済的損失などが言及されています。適応の努力としては、早期警報システム、都市計画、労働規制などがあげられています。
昨年『Lancet』誌に掲載された分析によると、高温によって2022年に世界中で失われた労働時間は4,900億時間にのぼり、1991年から2000年の年間平均から約42%も増加したとのことです。東南アジアだけで同地域のGDPのほぼ5%に相当する収入が減少するそうで、異常気温は農作物の収穫高を大混乱に陥れる可能性もあるとのことです。例えば2022年春の猛暑はその年のインドの小麦生産量を4.5%減少させたと考えられているそうです。
image credit: The Economist
【2】記録的な猛暑で死者続出か? - 巡礼での死者1,300人に続き、さらに死者が増えると専門家予測 [6/26 Financial Times]
"科学者や外交官たちは、世界的な気温上昇により熱関連の死亡者が増加すると警告していて、今年の夏が史上最も暑い夏になる可能性があると指摘しています。過去12ヶ月間は世界的に最も暑い記録となっていて、これは気候変動とエルニーニョの両方に起因していると言われています。専門家たちは、「サイレントキラー」と呼ばれる極端な暑さから人々を守るための緊急の行動の必要性を強調しています。人為的な気候変動と自然の気象現象の組み合わせにより、熱波はより頻繁かつ深刻になっています。通常は気温を下げるラニーニャへの移行の可能性があるにもかかわらず、記録的な暑さが続くことへの懸念は依然として存在します。"
【3】気候変動 8割が自国の対策強化望む 目立つ日本人の「わからない」[6/24 毎日新聞]
UNDPが実施した世界77カ国での気候変動意識調査(People's Climate Vote)について、興味深い傾向が指摘されてます。日本では、世界平均を上回る67%が気候変動への心配が増したと回答し、高い危機感を示す一方で、気候変動対策に関する質問で「わからない」と答える割合が他国に比べて高く、情報や認識の不足が示唆されています。例えば、「あなたの国で気候変動対策に最も影響を与えたのは誰か」との設問に対し、日本では50%以上が「わからない」と回答した点に専門家も着目したとのことです(世界全体では11%)。
Image Credit: UNDPが実施した世界77カ国での気候変動意識調査(People's Climate Vote)
【4】「再エネ少ない国」へ危機感 大手87社要望の背景、競争力に影響も [6/25 朝日新聞🔐]
大手企業87社が日本政府に再生可能エネルギー(再エネ)拡大を求める提言を発表。環境配慮型経営が世界的に求められる中、日本企業の再エネ導入は欧米に比べ遅れていると指摘されています。RE100参加企業の日本での再エネ使用率は25%程度で、G7最下位。高コスト、供給量不足、調達の難しさが課題である一方で、企業が直接再エネを購入するコーポレートPPAが急増しており、特に海外IT企業が牽引しているそうです。再エネの確保は企業の国際競争力や日本市場の魅力に影響を与える可能性にも言及されています。
【5】K-POPファンが現代自動車動かす - 推し活のためには地球も救う [6/26 日経ESG]
K-POPファンがオンラインコミュニティを気候変動対策の原動力に変え、石炭火力発電に関連するビジネス取引に抗議し、環境問題への意識を高める取り組みが紹介されています。「Kpop4Planet」という若者が立ち上げた団体の活動は最近いろいろなメディアで紹介記事が掲載されていて、こうした機運がどのように今後広がりを見せるのか注目です。
*K-POPファン、消費者パワーを環境活動に動員 - ヒュンダイ石炭の成功後、活動家たちはマーケティングをめぐり韓国の音楽業界を標的にした [6/14 Nikkei Asia 🔐]
K-POPファンの影響力は環境問題を変え得るのか──「KPop4Planet」がファッション業界に気候変動対策を呼びかけ [3/22 Vogue Japan]
【6】海底鉱物資源の活用に弾みつくか注目 引き上げ実証試験へ [ 6/21 NHK] / 南鳥島周辺に鉱物2億トン、EV電池75年分 東大など [6/21 日本経済新聞]
こちらの記事は大手メディアでも紹介されているのでご覧になった方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?「日本が資源大国になれるかも?」と思いましたが、どうやら以前から賛否両論含め議論になっているトピックのようです。もちろん新しい資源の可能性には期待したいものの、「技術的な目利き力」を身につけることは難しいと感じるニュースでした。以下のジョン・オリバー氏による「Last Week Tonight」においては、深海生態系への甚大な被害の可能性への懸念など、懐疑的な視点でこの新技術について掘り下げられています。
【7】米国Climate Techベンチャー投資の最新動向と注目すべき領域 - Shaping the Future of Our Planet [6/27 DNX Ventures /note]
技術の目利き、という点に関し、Climate Tech投資を専門に手掛けている投資家の方による考察はとても勉強になります。以下note記事とポッドキャストになります。ご興味ある方はぜひ:)
【8】1兆円ベンチャーをゼロから仕掛けた「秘密の投資家」【出演: 宗原智策さん】[6/27 経済番組グリーンビジネス]
【9】Breakthrough Energy Summit 2024 [6/26-28]
ビル・ゲイツ氏が設立したBreakthrough Energyが主催する招待制イベント、「Breakthrough Energy Summit 2024」が6月26日から28日にかけてロンドンで開催され、関連記事や動画が多く公開されています。会場内の掲示に「Climate tech has arrived」と書かれていて、気候変動対策やエネルギー・トランジションをテクノロジーやイノベーションで推進しようという取り組みや機運が高まっていることが伺えます。イベントの様子はBreakthrough Energy グループ参加のメディア、Cipher Newsの記事などで詳しく報じられています。
【10】水素・アンモニア利用拡大へ、大手商社が拠点整備を本格化…「輸入頼み」経済安保上の課題残る [6/27 読売新聞]
"燃やしても二酸化炭素(CO2)が出ない水素・アンモニアの利用拡大に向け、大手商社が供給拠点の整備を本格化させている。政府は今夏にも新たな補助金の公募を始め、産業界の脱炭素化を後押しする。ただ、水素の大半を輸入に頼っているのが現状で、経済安全保障上の課題は残る。"
アンモニア混焼技術に関しては石炭火力発電の「延命」なのではないか、ということで批判的な見方があることが様々なメディアで報じられることがあります。とはいえ、第6次エネルギー基本計画において「2030年の電源構成において、水素・アンモニア発電を1%と位置付けている」こともあり、様々な企業がサプライチェーンの構築に向けて着々と準備・開発を進めているということを認識する記事でした。今年度議論されている第7次エネルギー基本計画策定に向けての議論について、より動向に注意を払い、理解しようとすることが大切なのでは、と感じます。
ここまでお読みいただきありがとうございました! 今回は以上となります。もしニュースレターが有益と感じられたら、同僚、ご友人、或いはSNS等でご興味ありそうな方に共有いただけたら嬉しいです🙂。
*気候変動、脱炭素、気候テック関連のリサーチ等にも力を入れています。海外の業界動向調査やコンサルティング等、お仕事のご相談・ご依頼がありましたら、どうぞお気軽にご連絡下さい。
では、どうぞよい週末をお過ごしください🙂🙋
市川裕康 株式会社ソーシャルカンパニー | www.socialcompany.org
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