「2050年の天気予報」/ 米大学で増える気候変動の学位

【1】「2050年の天気予報」「熱波の影響で、今年の京都の紅葉の見頃はクリスマスごろとなりそうです」
【5】Google、日本で再エネ直接調達 データセンターを脱炭素
【6】日本でグリーンビジネスが盛り上がらない「本当の理由」
【9】気候変動の学位を求める卒業予定の大学生が増加、米国の大学がそれに応える
市川裕康 2024.05.25
誰でも

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【⭐📰👀今週気になったニュース・トピックス】

"「熱波の影響で、今年の京都の紅葉の見頃はクリスマスごろとなりそうです」

気象キャスターが読み上げる天気予報に、クリスマスツリーと真っ赤な紅葉が映し出される。これは、国連の世界気象機関(WMO)が、温暖化への関心を高めようと2014年に作製した「2050年の天気予報」の一場面だ。"

先日、気候学者の江守正多教授がXに投稿されているのを拝見して初めて知ったこちらの動画。10年も前に作成された「気象予報」動画に、予想を超えて温暖化が進んでいることもあり驚かされました。今は自分ごととして興味関心を持っているものの、きっと10年前の自分のような人も多くいらっしゃるはず。せめてシェアすることで多くの人に伝われば、と思い共有させていただきます。

▶「ムズカシイ」と感じがちなこの「カーボンクレジット」。毎週のように新しい動きがあり、今後も注目していきたいと思います。

"東京証券取引所は二酸化炭素(CO2)排出量を売買するカーボン・クレジット市場を強化する。排出量の多い大手企業が参加しやすくなるよう、取り扱うクレジットの対象を11月にも広げる。他国に出遅れていた市場に「本命」が参入できる土台を整え、実効性を高める狙いだ。"

image credit: 日本経済新聞

image credit: 日本経済新聞

【3】2050年までにネットゼロは可能か?可能だが、コストは19%増加する - ブルームバーグNEFの新しい報告書によると、化石燃料依存が長引けば長引くほど、世界的な気候変動目標の達成は難しくなっている [5/21 Bloomberg Green *🎁Gift URL]

BloombergNEFによる「New Energy Outlook」2024年版が公開。NetZero達成のためのコストとして「EV売上」の比重がここまで大きいことに驚きです。

image credit: Bloomberg Green

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マイクロソフトはAI事業によるデータセンターインフラ構築等によりCO2排出量が30%増加したことを踏まえ、マイクロソフトに納品される商品やサービスについて、「厳選された規模の大量生産サプライヤーに対し、2030年までに100%カーボンフリーの電力を使用する」ことを義務付けるとのことです。

"米グーグルが日本国内で再生可能エネルギーの本格的な調達を開始する。伊藤忠商事の出資先企業であるクリーンエナジーコネクト(CEC)や独立系の自然電力から電力の供給を受ける。グーグルは電力を大量に消費するデータセンターの需要拡大に対応するため、日本でもデータセンターと並行して再生エネ供給網の整備を進める方針だ。

グーグルは、発電事業者が特定の大口顧客に電気を直接販売するコーポレートPPA(電力購入契約)制度を活用して再生エネを調達する。CECは100億円を投じ2026年までに太陽光発電所を約800カ所建設し、自然電力も関東地方でグーグル専用の太陽光発電所を建設する。

グーグルは2030年までに世界の拠点全体で使う電力の100%を再生エネなどCO2が出ないエネルギーに高める目標を掲げている。日本での再生エネ比率は現在16%だが、今後太陽光発電所の建設を進めることで目標達成を目指す。"

先日公開収録に参加させていただいたポッドキャスト番組、「経済番組グリーンビジネス」の様子が配信されていました。ロンドンとシンガポール拠点の気候テック投資のプロを招いたディスカッションがコンパクトにまとめられていて、とても示唆に富む内容でした。日本と海外とでのClimate Techの認識の違い、日本、日本人に期待されていることなど、とても学びが多かったです。

【7】地熱革命が始まる (プレジデントムック)

上記のグリーンビジネスの公開収録の際の質問コーナーで話題になったのが地熱でした。国内には資源ポテンシャルがある一方で「温泉組合」からの懸念、「国立公園」敷地内で開発が難しいなど、課題が指摘されることが多いようです。ちょうど手にした関連本を2冊読み、改めて課題と可能性を感じることができました。超臨界地熱発電、クローズドループ、 AIによる熱源位置予測技術等の新しいイノベーションも開発され、海外で急速に注目が集まっている様子も伺えます。

5月21日に国内の核融合産業に携わるプレイヤーたちの共同体であるフュージョンエネルギー産業協議会(J-Fusion、ジェイフュージョン)が設立され、初めてとなる記者向け説明会の様子が詳しく紹介されています。

"本格的な実現は、うまくいったとしても2030年代から2040年ごろであるという見方が強いものの、企業の言葉を信じるなら、かつて「30年先の技術」と言われていた核融合発電の実現が、5年先、10年先に迫ってきている。"

アメリカでは2020年のカルフォルニア州の山火事、近年の猛暑、昨年のカナダの山火事の影響でニューヨークに広がったオレンジ色の空などの原体験により、気候変動を学びキャリアに活かしたいという需要を後押ししているようです。

  • 気候災害の直接体験を将来のキャリアに生かし、解決策を見出したいという学生の需要の高まりに応えるため、米国の大学では気候変動プログラムの設立が増加している。

  • これらのプログラムでは、気候変動の科学、再生可能エネルギー、災害対応、コミュニケーション、環境正義、温室効果ガス排出削減における政策立案者や企業の役割など、幅広いトピックを扱っている。

  • 気候変動プログラムの成長は、気候変動の影響を受ける人々の増加、バイデン政権の歴史的な気候投資、気候関連の職業機会の増加、学生を引き付け、時代に適応しようとする大学などの要因によって後押しされている。

炭素除去(CDR)、DAC(直接空気回収)関連のフロントランナーであるクライムワークス社の新施設のお披露目イベントの現地取材レポート。とても詳しくDACビジネスの現状・課題・展望が紹介されています。

「CDR」(Carbon Dioxide Removal=炭素除去)は国内でも近年注目が集まりつつ分野である一方で、海外の報道を見ているとその盛り上がり・熱狂ぶりに圧倒されます。そんな経緯もあり、オンライン気候変動講座の Terra.do が開講したばかりの5月末スタートのCDR入門講座を、昨日受講申し込みしてみました。ご興味ある方はこちらのリンクから申込されると20%割引になります(締切は5/29迄)。ぜひ一緒に受講してみませんか?

image credit:Terra.do

image credit:Terra.do

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ここまでお読みいただきありがとうございました! 今回は以上となります。もしニュースレターが有益と感じられたら、同僚、ご友人、或いはSNS等でご興味ありそうな方に共有いただけたら嬉しいです🙂。

*気候変動、脱炭素、気候テック関連のリサーチ等にも力を入れています。海外の業界動向調査やコンサルティング等、お仕事のご相談・ご依頼がありましたら、どうぞお気軽にご連絡下さい。

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では、どうぞよい週末をお過ごしください🙂🙋

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