「気候変動とエネルギー政策の現実:国際比較と日本の課題」
【5】AIが気候変動対策に役立つ9つの方法
【9】2024年、気候テクノロジー業界に成熟の兆し 新たな2つのレポートが明らかに
こんにちは。新規登録の皆様、ありがとうございます。気候変動・脱炭素・Climate Tech関連の週間ニュースレターを配信している市川裕康です。「Climate Curation」は2022年4月の創刊以来、theLetterで750名以上、Linkedinニュースレターでは1,050名を超える方にご購読いただいております。心より感謝申し上げます。
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【タイトル目次:⭐📰👀今週気になったニュース・トピックス】
【1】温暖化ガス「35年度6割減」 政府案、強まる上積み要求 - 国際基準見劣り [12/14 日本経済新聞🔏]
【2】再エネ比率、40年度に「4~5割程度」で調整 経産省 [12/9 日本経済新聞🔏]
【3】「知りたい」けど「知らない」浮き彫り エネルギー基本計画4千人調査 [12/11 パルシステム]
【4】「脱原発」したけれど ドイツ、エネ高騰で経済大減速 [12/10 日本経済新聞🔏]
【5】AIが気候変動対策に役立つ9つの方法 [2/12 World Economic Forum]
【6】🇨🇦トルドー政権、「実現可能な」温室効果ガス削減の新目標を発表 [12/12 Tronto Star]
【7】英国で今年、再生可能エネルギーによる発電量が化石燃料を上回る見通し [12/10 Financial Times🔏]
【8】地球温暖化は「詐欺」と主張するトランプ氏の勝利を受け、気候変動対策運動が戦術を転換 [12/10 The New York Times 🔏]
【9】2024年、気候テクノロジー業界に成熟の兆し 新たな2つのレポートが明らかに [12/13 Latitude Media]
【10】Climate Tech の現状 2024 ー取引減速の中で優位性を模索 [12/3 PwC]
【⭐📰👀今週気になったニュース・トピックス】
【1】温暖化ガス「35年度6割減」 政府案、強まる上積み要求 - 国際基準見劣り [12/14 日本経済新聞🔏]
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日本政府は、2035年度までに60%、2040年度までに73%(2013年度比)の温室効果ガス削減という新目標を検討しており、排出削減とエネルギー安全保障・経済成長の両立を目指している。
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三井不動産やリコーを含む250社以上が、JCLPを通じてより意欲的な目標を提唱し、2035年までに75%削減と再生可能エネルギー比率60%以上を提案している。
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IPCCの報告書によると、気温上昇を1.5℃以内に抑えるためには、2019年比で世界全体で60%の削減が必要であり、これは日本の2013年度比で約66%の削減に相当する。
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政府目標は国際基準から見て不十分との指摘もあるが、政府は目標が1.5℃シナリオの範囲内にあるとしている一方、専門家はIPCCシナリオとの整合性の定義が不明確と指摘している。
【2】再エネ比率、40年度に「4~5割程度」で調整 経産省 [12/9 日本経済新聞🔏]
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経済産業省は2040年度の電源構成において再生可能エネルギーを主力電源として4〜5割まで引き上げる一方、原子力は2割を維持し、残りを火力などが占める新たなエネルギーミックスの方針を示した。
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*『「可能な限り原発依存度を低減する」との文言を削る最終調整に入った』との文言を削る最終調整に入った。[12/12 日本経済新聞🔏]
image credit : 日本経済新聞
【3】「知りたい」けど「知らない」浮き彫り エネルギー基本計画4千人調査 [12/11 パルシステム]
パルシステム連合会が実施した4,099人を対象とするエネルギーに関する調査で、第7次エネルギー基本計画について「知っている」と答えた人はわずか7%である一方、「内容を知りたい」と回答した人は53%に上ることが判明しました。また、政府の意見箱の認知度も6%と低いものの、知らなかった回答者の48%が投稿意欲を示しています。一方で、日常的な省エネ活動については97%が実践しており、特に公共交通機関の利用(58%)やクールビズ・ウォームビズ(52%)が高い実施率を示しています。
🙋今後の気候変動政策を決めるための議論に対し、注目が集まっています。「気候変動」や「エネルギー」というテーマの複雑さ、そして長期的であるために「自分ごと」として考えることが難しい一方で、何が正解か分からない、判断する前提条件やどう読み解くかも含め難しいと考える方も(自分も含め)多くいらっしゃると感じます。
【4】「脱原発」したけれど ドイツ、エネ高騰で経済大減速 - エネルギーの新秩序・国富を考える(1)[12/10 日本経済新聞🔏]
🙋こちらの記事はざっくり要約すると「脱炭素で失速するドイツとAI活用で原発再利用に動く米国。日本はエネルギー戦略の遅れで国富流出。現実的な産業政策が急務。」というような内容の記事で、掲載後本日時点でX上で3,900以上のエンゲージメント(いいねやシェア)を獲得しています(SNS分析ツールのBuzzSumoによると、気候変動関連で今週最もバズった投稿のようです)。X上では「脱原発→電力コスト上昇→産業空洞化」という因果関係を踏まえ、日本のより「現実的な」政策を望むコメントが溢れています。
私自身は記事を一読した際に少し違和感を感じたこと、因果関係が詳しく理解できないと感じたこともあり、ChatGPTに全文を入力した上で「抜け落ちている視点がないか」尋ねてみました。回答は以下の通りです(更に長文のChatGPT Proによる回答はこちら)。
"本文はおおむね事実に基づくが、脱原発がドイツ産業界に与える影響を強調し、再エネ拡大のポジティブ側面や原発継続に伴うコスト・リスクには十分触れていない。つまり、取り上げている事例は実在し、一定の傾向を示唆しているものの、要因分析や対策の多様性、再エネ・原発双方のメリット・デメリットを均等に示していないため、視点が偏っていると考えられる。補足としては、再エネ導入拡大による長期的コスト削減の可能性や原発維持に伴う安全・財政負担、国際的な対策・比較データなどが必要である。"
【5】AIが気候変動対策に役立つ9つの方法 [2/12 World Economic Forum]
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AIは気候変動との戦いにおける強力なツールとして台頭し、環境モニタリング、災害予測、廃棄物管理、産業の脱炭素化にわたるソリューションを提供しています。氷山の融解追跡から効率的な再植林まで、AI技術は気候関連の課題を理解し、予測し、緩和する能力を加速させています。
🙋AIを活用した気候変動対策の方法や事例は既に多く挙げられていますが、今週ChatGPT ProやGoogle Gemini などの最新バージョンが次々とリリースされる中で強く感じたことがあります。複雑で時に理解や説明が難しい気候変動に関する疑問に出会った際には生成AIの力をもっ活用できるのでは、ということです。ディスカッションや議論、記事を書く際に国際的な政策・ニュースで報じられることも踏まえた他国政策との比較、多様な観点からの視点を踏まえた「是々非々」の情報を得たい時、ファクトチェックをしたい時こそ、生成AIは大きな力を発揮してくれるのではないかと感じます。
私自身はウェブ検索の際には「Perplexity」、翻訳・要約の際には「Claude」、分析・考察・推敲の際には「ChatGPT」を利用していますが、まだまだ試行錯誤中です。是非こうした分野での活用に興味がある方いたら情報交換等させていただけると嬉しいです🙂
【6】🇨🇦トルドー政権、「実現可能な」温室効果ガス削減の新目標を発表 [12/12 Tronto Star]
カナダの2035年までの45%排出削減という新目標は、気候変動対策の野心と経済的実現可能性との妥協を示すものだが、気候危機への対応の緊急性が不足しているとの批判に直面している。
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新目標:2035年までに温室効果ガス排出量を2005年比で45%削減
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緩やかな削減ペース:年1%(2030-2035年)vs 現行の年5%(2022-2030年)
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推奨された50%削減目標には未達
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評価が分かれる:環境団体は批判的、一部の政策研究所は支持
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カナダは過去の排出削減目標を一度も達成していない
🙋IPCCの報告書が気温上昇を1.5℃以内に抑えるために推奨している削減目標は「2019年比で世界全体で60%」。日本が現在検討中の「2013年比60%削減」という数値は「2019年比では約52%削減」に相当するとされ、カナダ政府が今回発表した「2005年比で45%削減」は「2019年比では約41%削減」ということになります(ChatGPT調べ)。環境NGOのグリーンピース出身でかつて「グリーン・ジーザス」と呼ばれたこともあるスティーブン・ギルボー環境・気候変動相を持ってしても現実的な政策を選択せざるを得ない状況に、改めて気候変動政策の難しさを感じます。 参照:『グリーンジーザスの試練』[2022/12/13 毎日新聞]
【7】英国で今年、再生可能エネルギーによる発電量が化石燃料を上回る見通し - 研究によると、風力発電が最大の電源として天然ガスに迫る [12/10 Financial Times🔏]
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再生可能エネルギーが初めて化石燃料による発電量を上回る(37%対35%)
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風力発電(29.34%)が最大の電源である天然ガス(30.4%)に迫る
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英国は2030年までに95%のクリーン電力を目標に設定(100%から下方修正)
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原子力発電は発電量の15%を占め、再生可能エネルギーの計算からは除外
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英国はG7諸国で初めて石炭火力発電所を完全廃止
image credit: Financial Times
【8】地球温暖化は「詐欺」と主張するトランプ氏の勝利を受け、気候変動対策運動が戦術を転換 - 地球温暖化を「詐欺」と呼ぶ次期大統領の誕生に直面し、活動家たちは希望のメッセージを掲げながら戦略の見直しを進めています[12/10 The New York Times 🔏]
気候活動家たちは、政治的変化に対応して、取り組みを地方レベルに移行し、経済的利点を強調するメッセージへと転換し、より前向きでコミュニティ中心の環境保護活動アプローチを採用しています
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気候活動家たちは、エネルギー政策を管理する州機関や委員会に焦点を当て、地方レベルの活動にシフトしている
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クリーンエネルギーの経済的利点を強調する方向への戦略的転換が行われている
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インフレ削減法の擁護とLNG輸出ターミナルの一時停止の恒久化を目指している
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喜び、コミュニティ作り、前向きなメッセージを重視する新しい活動の波が生まれている
【9】2024年、気候テクノロジー業界に成熟の兆し 新たな2つのレポートが明らかに:気候テック投資の資金調達構造の多様化が進み、負債調達の増加とベンチャーキャピタル投資の統合化が進む [12/13 Latitude Media]
image credit: Sightline Climate
気候テック投資は従来のベンチャーキャピタルを超えて成熟・多様化しており、市場の課題が続く中でも債務金融が increasingly重要な役割を果たしています。
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2024年の世界の気候テック投資は920億ドルの見込みで、緩やかな回復を示す
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債務による資金調達が総額の41%まで劇的に増加し、セクターの成熟を示す
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欧州が大型の債務ラウンドにより初めて米国の総投資額を上回る
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ベンチャーキャピタル投資は9%減少し、より成熟した投資モデルへの移行を示唆
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課題はあるものの、投資家の70%が1-3年以内の資金流入増加を予想
Image credit: Net Zero Insights
【10】Climate Tech の現状 2024 ー取引減速の中で優位性を模索 [12/3 PwC]
上記記事含め、2024年も終わりに近づく中でClimate Techに関するレポート・考察が数多く報じられています。
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気候テクノロジーの現状 2024 ー取引減速の中で優位性を模索 [12/3 PwC]
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気候テック投資の資金構造と新規ファンドの動向 - 2024年における気候テック投資の未投資資金とファンド組成の傾向 [12/13 Sightline Climate]
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State of Climate Tech Report [12/13 Net Zero Insights]
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ある大手Climate Tech 投資家は2025年に強気、もう一人は危機が迫ると警告 - オブビアス・ベンチャーズのアンドリュー・ビービー氏とジェネレート・キャピタルのスコット・ジェイコブス氏が、気候テック業界の過去、現在、そして未来を語る [12/11 Heatmap News]
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気候テック投資は減速も、ファンドの手元資金は860億ドルに増加 - ブルックフィールドやTPGなど大手金融機関が今年新たな気候関連ファンドを設立。投資は減少しているものの、将来に向けた明るい兆しとなる [12/12 Bloomberg Green]
ここまでお読みいただきありがとうございました! 今回は以上となります。もしニュースレターが有益と感じられたらSNSなどで「いいね」や「シェア」をお願いします 🙇♂️[ハッシュタグ: #ClimateCuration ] みなさんのネットワークの中で、気候変動に関する情報を必要としている方に届くきっかけになれば幸いです🙂。
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感想、質問、リクエスト、提案なども歓迎です:) *ニュースレターの性質上なかなかコメントを頂く機会も限られていることもあり、文章の量、フォーマット、切り口など、試行錯誤中です。少しでも読みやすく、役に立つ内容に改善出来たらと思ってます。
*気候変動、脱炭素、気候テック関連のリサーチ等にも力を入れています。海外の業界動向調査やコンサルティング等、お仕事のご相談・ご依頼がありましたら、どうぞお気軽にご連絡下さい。
では、よい週末をお過ごしください🙋
市川裕康 株式会社ソーシャルカンパニー | www.socialcompany.org
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