温暖化の逆説:気温過去最高で記録的大雪・三菱UFJ脱炭素枠組み脱退・再エネ負担2千円増

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先週の英語版ニュースレター「Japan Climate Curation vol. 145」の概要
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日本は2050年のカーボンニュートラル目標を達成するため、2040年までに再生可能エネルギー40~50%、原子力20%を目指す一方で、米国からのLNG購入を過去最高水準で確保するという複合的なエネルギー戦略を展開している。MUFGが政治的圧力の中で他の主要銀行と同様に気候同盟から撤退する一方、マツダは中国の長安汽車との提携によりEV開発コストを削減する「リーン・アセット戦略」を採用。また、岩谷産業がオーストラリアの水素プロジェクトから撤退するなど、グリーンイニシアチブは課題に直面している。その一方で、日本はアジア全域での衛星による排出量追跡を拡大し、ケリングのスタートアップ賞を通じて持続可能なイノベーションを支援している。
*免責事項:要約、翻訳、編集の際にClaude Sonet 3.7 などの生成AIツールを使用しています🙂
【⭐📰👀今週気になったニュース・トピックス】
【1】2024年の世界平均気温が過去最高、温暖化ガスレベルが記録的水準 [3/19 ロイター]
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2024年の世界平均気温は産業革命前比で1.55度上昇し、過去最高を記録しました。
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温暖化ガスが記録的水準に達し、氷河や海氷の融解が加速しています。
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パリ協定の目標(1.5度)に近づくも、長期平均では1.34-1.41度にとどまっています。
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太陽活動周期の変化や火山噴火も気温上昇に関与した可能性があります。
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海洋温度と海水面も2024年に過去最高を記録しました。
【2】2月の記録的大雪「地球温暖化の影響の可能性」気象庁など研究チーム 海面水温上昇で増加した水蒸気が寒波で大雪に [3/18 TBS NEWS DIG]
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2月の日本海側での記録的大雪は地球温暖化の影響の可能性があると気象庁研究チームが発表しました。
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2月に日本付近を2度襲った寒波により、北海道帯広では12時間で120センチの降雪を記録しました。
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海面水温上昇で増加した水蒸気が寒波と重なり大雪につながった可能性があります。
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温暖化による海水温上昇が水蒸気を増加させ、寒気と遭遇して降雪量増加を引き起こします。
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気象変動により極端な気象現象が増加する可能性があることを示す事例となりました。
【3】地球温暖化で世界的に山火事が多発 森林火災リスクは2050年までに50%増か [3/17 ウェザーニュース]
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大船渡市の山火事は市面積の約9%が焼失し、平成以降最大規模となりました。
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極端な乾燥と強風により「樹冠火」が発生し、急斜面に沿って燃え広がりました。
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世界の森林焼失面積は2023年に約1200万haで、20年前の約3倍に増加しました。
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地球温暖化により森林の回復力が低下し、二酸化炭素排出増加の「負の連鎖」が生じています。
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山火事の約7割は1〜5月に集中し、予防には落葉・下草の除去や火の取扱い注意が重要です。
【4】再エネ賦課金の国民負担、過去最高3兆円超え 来年度、世帯年額1万9千円で2千円負担増 [3/21 産経新聞]
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再エネ賦課金の令和7年度分単価が1キロワット時あたり3.98円に設定されました。
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標準家庭の電気料金は月額1592円、年額1万9104円が上乗せされます。
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国民全体の年間負担は3兆634億円と初めて3兆円を超えます。
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今年度から0.49円上昇し、標準家庭で年額2352円の負担増となります。
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賦課金は平成24年度の導入以来増加傾向ですが、令和5年度は一時的に下落しました。
【5】三菱UFJも脱炭素の国際枠組み脱退へ 日本勢3社目 [3/18 日本経済新聞]
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三菱UFJが脱炭素枠組み「NZBA」からの脱退方針を固めました。
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日本勢では三井住友FG、野村HDに続く3社目の離脱となります。
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米銀6社やカナダの複数行も既に離脱を表明しています。
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背景にはトランプ政権下での批判や法的リスクの懸念があります。
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三菱UFJは枠組み脱退後も独自の脱炭素目標は維持する方針です。
【6】太陽光一辺倒で風力はほとんど伸びぬ、2040年の政府の再エネ像 [3/10 日経エネルギーNext]
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第7次エネルギー基本計画では再エネが2040年の電源構成の4〜5割を占めますが、主に太陽光の増加に依存しています。
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風力発電は2030年と2040年でほぼ同じ発電量にとどまり、基幹電源としての期待に反して成長が見込まれていません。
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原子力は電源構成の2割を維持しますが、電力需要増加により発電量は増加し、既存原発の極限稼働が前提となっています。
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電力需要は生成AIやDX・GXの進展により2040年に最大2割強の上昇が見込まれています。
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政府は2040年までに電源の約9割を脱炭素化する計画ですが、CCS付き火力や水素・アンモニア火力に大きく依存しています。
【7】石炭火力、春・秋に停止 JERA - 脱炭素へ26年度にも[3/21 日本経済新聞]
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JERAは2026年度から春秋の閑散期に石炭火力発電所の運転を休止する計画です。
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CO2排出量の多い石炭火力は脱炭素の流れで日本でも役割が転換点を迎えています。
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Jパワーも西日本で2023年から春秋の発電所運転を見直し季節電源化を進めています。
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石炭価格上昇と市場価格下落により「逆ざや」が発生しやすくなっています。
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日本政府はエネルギー安全保障の観点から一定数の石炭火力維持を検討しています。
【8】日本の若い気候活動家たち、突破口を模索中 [3/16 The Japan Times]
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日本の若者主導の気候活動団体は、政府の不十分な気候対策に対して声を上げていますが、抗議活動の参加者は少数にとどまっています。
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日本の若者の87%が気候変動対策は重要だと考えていますが、政治的行動に参加する意欲は限られています。
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気候変動教育の不足と地域に根ざしたメッセージの欠如が、日本での気候運動の拡大を妨げている主な要因です。
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活動家たちは政策対話、教育活動、反核運動などの他の社会運動との協力を通じて影響力を高める道を模索しています。
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若者の声が社会的影響力を持つ欧州と比較して、日本社会では若者がステークホルダーとして認識されにくい傾向があります。
【9】AIの電力需要急増の中、核融合分野で中国に後れを取る米国 [3/16 CNBC]
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中国は核融合研究に大規模投資を行い、米国を技術的に追い越しつつあります。
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AIの電力需要急増により、持続可能な高出力エネルギー源としての核融合の重要性が高まっています。
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米国は予算制約と政策の一貫性不足により、核融合イノベーションのペースが低下しています。
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官民パートナーシップの強化が米国の競争力回復に不可欠とされています。
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核融合技術競争の結果は将来のAI開発とグローバルな影響力を左右する可能性があります。
【10】トランプ政策は欧州の気候テクノロジーにとって「歓迎すべき」警鐘 - 一部の投資家・アクセラレーターは、新米大統領の環境問題への対応を大陸のチャンスと捉える [3/13 Financial Times]
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トランプ政権の気候変動政策は欧州の気候テック業界に好機をもたらしています。
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米国がパリ協定離脱と緑のインフラ資金の停止を決定する中、欧州の投資家や起業家たちはこれを「歓迎すべき警鐘」と捉えています。
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欧州は米国からの人材と資金の流入を経験し、気候テック部門で米国との差を縮める機会を得ています。
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官僚主義の簡素化や汎欧州的協力の強化が課題として残っています。
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投資家たちは、太陽光や原子力などの再生可能エネルギーは価格競争力により成長を続けると予測しています。
【11】BYDの5分充電:電気自動車ライバルの時間切れか? - 中国自動車メーカーの今年2度目の衝撃発表が他社を廃業に追い込む可能性、アナリストが指摘 [3/19 Financial Times]
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BYDの新充電システムは5分で約470kmの走行距離を追加可能です。
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1,000キロワット充電能力で秒速約2kmの充電速度を実現しています。
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ハン・LセダンとタンL SUVが最初のフラッグシップモデルとして採用されます。
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BYDはテスラのスーパーチャージャーより高速な充電技術を保有しています。
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貿易障壁と安全保障上の懸念が海外展開の課題となっています。
【12】官民スタートアップ支援、5次選定にイノカ・ピリカなど31社 [3/21 環境ビジネス]
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経済産業省は「J-Startup」プログラムの第5次選定で新たに31社を発表しました。
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環境分野からは、オレンジの皮などを原料とした100%オーガニックポリマーを開発するEF Polymer、生態圏を水槽内に再現する「環境移送技術」を研究するイノカなどが選出されました。
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ごみ拾いプラットフォームのピリカ、核融合エネルギー実用化を目指すHelical Fusionも選ばれています。
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J-Startupに選定された企業は、政府支援施策や民間サポーターの成長支援を受けやすくなります。
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このプログラムは2018年に開始され、現在までに累計239社が選定されています。
【13】イベントご案内 GXカンファレンス[3/26-28 クーリエ・ジャポン]
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クーリエ・ジャポンが主催するGXカンファレンス2025は、3月26日〜28日にオンデマンド配信で開催される無料イベントです。
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パタゴニア米国本社副社長や東京大学教授など著名人が登壇します。
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先進企業の事例紹介や課題解決法を通じて、日本企業のGX推進に必要な知見を提供します。
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サントリー、積水ハウス、SMBCグループ、森永乳業など国内企業の具体的な取り組みも紹介されます。
【14】地球クライシス 第12弾 気候危機 転換への道しるべ - 温暖化を止められるのか!?最新テクノロジーSP [3/24 21:00 -23:00放映予定]
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BS朝日の「地球クライシス」第12弾は再生可能エネルギーなど気候変動対策の最新技術を特集します。特に農地とソーラーパネルを共存させる「ソーラーシェアリング」に注目しています。優れた技術がありながら普及が遅れている日本の現状への懸念も表明されています。番組は環境問題への意識喚起と行動のきっかけ作りを目指しているとのことです。
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ここまでお読みいただきありがとうございました! 今回は以上となります。もしニュースレターが有益と感じられたら、XなどSNSで「いいね」や「シェア」をお願いします。みなさんのネットワークの中で、気候変動に関する情報を必要としている方に届くきっかけになれば幸いです。
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*気候変動、脱炭素、気候テック関連のリサーチ等にも力を入れています。海外の業界動向調査やコンサルティング等、お仕事のご相談・ご依頼がありましたら、どうぞお気軽にご連絡下さい。
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市川裕康 株式会社ソーシャルカンパニー | www.socialcompany.org
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