🇨🇳 対中クリーンテック競争と🔮 気候テックの未来予測

【Climate Curation配信プラットフォーム】

• Climate Curation[日本語版 毎週土曜日配信] theLetter | Linkedin | note / *過去配信記事[2022年4月〜2024年1月]

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*英語版は毎週水曜日配信です。よろしければ併せてご覧ください📬

先週の英語版ニュースレター「Japan Climate Curation vol. 150」の概要

• 日本の気候変動対策は記録的な低排出量を達成し、再生可能エネルギーと原子力の利用拡大も進んでいます。一方でエネルギー政策には対照的な側面も見られ、原子炉再稼働を承認する傍ら、議論を呼ぶ合成燃料への投資やマレーシアでの炭素貯蔵技術の探索も行っています。運輸部門では、中国EVメーカーのBYDが日本の軽自動車市場に参入し、業界に変革をもたらしています。熱中症死亡者の増加に伴い政府は警告を発していますが、日本国民は気候変動の影響への懸念は高いものの、気候変動対策の緊急性認識は世界最低レベルにとどまっています。

*免責事項：要約、翻訳、編集の際にClaude Sonet 3.7 などの生成AIツールを使用しています🙂

▶先週はニュースレター配信のお休みを頂き、クアラルンプール（マレーシア）で開催された climateXchange が主催する気候メディアに関するワークショップに、アジア全域からのジャーナリストやメディア専門家と時間を過ごす機会をいただきました。climateXchange はアジアやアフリカなどの地域で文化を中心とした気候ジャーナリズムのアプローチを先駆的に取り組んでいる英国拠点の団体で、たくさんの学びを得ることができました。得られた知見を今後のニュースレターの改善に活かしていきたいと思います。🤞🙂🌏 ワークショップの様子はこちら

*実験的に今回のニュースレターの内容をNotebookLMの音声概要機能を使用して6分程度の音声コンテンツにまとめてみました。よかったらお試しください。こちらも今後少しずつ改善を試みます。

• 🎧Climate Curation 156 音声概要ファイル

【⭐📰👀今週気になったニュース・トピックス】

【1】📉 国内GHG排出量､23年度4%減　発電由来が減少幅の5割 [4/28 日経GX]

• 日本の2023年度温室効果ガス排出量は前年度比4%減の10億7100万トンで、2年連続で過去最低を更新しました。減少の53%を占めるエネルギー転換部門では、再生可能エネルギーと原子力発電が電源の3割超となり、東日本大震災以降初めて非化石電源が大きく貢献しています。化学や鉄鋼など産業部門全体でも排出減となりました。暖冬影響で家庭部門も6.8%減少しています。実質GDP当たりの排出量も過去最小となり、経済成長と排出削減の両立が進んでいます。今後は電源構成における再エネ比率の拡大が鍵で、政府は2040年度に再エネ4〜5割を目指しています。

• 環境省発表資料：https://www.env.go.jp/press/press_04797.html

【2】🔄 トランプ政権100日間の気候政策大転換 - 気候活動家の最悪の懸念をも上回る動き [4/29 New York Times]

• トランプ大統領の就任100日間で、気候政策の転換は環境活動家の最悪の懸念をはるかに超える事態となっています。政権は「エネルギー緊急事態」を宣言し、石油・ガス産業を積極的に支援する一方、再生可能エネルギーを弱体化させています。EPAは「車の購入、家の暖房、ビジネスの運営コストを下げる」ことを新たな使命として掲げ、環境保護から経済優先への大幅な方針転換を行いました。また、既に配布された気候変動対策の助成金200億ドルを詐欺の恐れがあるとして回収を求め、パリ協定からの再度の脱退を表明。国家気候評価に携わる数百人の科学者を解雇するなど、気候科学への攻撃も顕著になっています。

【3】💭 【Opinion】気候変動の危機感は低下しても、グリーン転換は止まらない by David Wallace-Wells [4/30 New York Times]

• 気候変動対策の政治的緊急性は低下しているものの、クリーンエネルギーへの移行は予想を上回るペースで進んでいます。世界のエネルギー移行への支出は2021年から2倍近くに増加し、風力や太陽光発電は多くの地域で急速に拡大しています。2024年には世界の新規発電設備の90%以上がクリーンエネルギーでした。しかし歴史を振り返ると、新しいエネルギー源は古いものを置換するのではなく追加されるだけでした。真の脱炭素化には、世界のエネルギーの3/4以上を占める化石燃料を40年で実質的に削減する必要があります。政治的緊急性なしでは、クリーンエネルギーの急増が本当の排出削減につながるのか不確かです。

【4】🍁 🇨🇦マーク・カーニー氏の対トランプ政策、気候変動対策も重視 [4/29 Bloomberg Green]

• カナダの連邦選挙でマーク・カーニー率いる自由党が勝利し、気候変動対策に強いコミットメントを持つ指導者が誕生しました。国連気候行動・金融特使を5年間務め、GFANZの共同創設者でもあるカーニーは、炭素市場の強化、炭素国境調整メカニズムの開発、クリーンエネルギープロジェクトの承認迅速化などを含む気候政策を提案しています。不人気な消費者向け炭素税は廃止するものの、同等の効果を持つ環境消費者インセンティブへの置き換えを約束しました。勝利演説では「クリーンエネルギーと従来型エネルギーの両方でカナダをエネルギー大国に」と述べ、気候変動対策と産業競争力の両立を目指す姿勢を示しました。

【5】🇨🇳 中国のクリーンテック輸出、2024年に新興市場で急増と示すデータ [4/28 Financial Times]

• 中国はクリーンテクノロジー輸出先を急速に新興市場へシフトしていて、BloombergNEFによると2022年の24%から2024年には43%まで拡大しました。米国の145%関税や欧州の貿易障壁への対応策としてこの傾向は加速すると予測されています。同時に価格下落により開発途上国での普及も促進されました。習近平国家主席は国連会議で「国際情勢にかかわらず、中国は気候変動対策の歩みを緩めない」と宣言し、すべてのセクターと温室効果ガスを対象とした改善目標を約束しました。中国の過剰生産能力は世界のグリーンテクノロジー価格を押し下げ、他国の国内生産確立を困難にしているが、開発途上国の脱炭素化には貢献しています。

【6】🔮 【レポート】気候テックの次なる展開〜一年先を見据えた5つの予測 [4/22 International Intrigue & CTVC]

気候テックの将来について5つの予測が示されています。

• 国家安全保障とクリーンエネルギー：地政学的緊張により各国政府は国内再生可能エネルギーへの投資を強化。

• AIとエネルギー需要：AI革命によるデータセンターの電力需要急増が原子力エネルギーの新たな需要を創出。

• バッテリー技術の革新：中国のバッテリーメーカーが年内に重要な技術的ブレークスルーを達成と予測。

• レアアース鉱物と貿易戦争：レアアース鉱物が米中貿易戦争の最前線に。

• 気候外交の変化：トランプ政権下の米国はCOP30（ブラジル開催）の気候決議に署名せず、代表団すら派遣しない可能性があり、気候リーダーシップの空白が生まれると予測されています。

【7】💡 ヒートマップ主催の気候テック次世代勝者イベント内部レポート [5/2 Heatmap News]

• サンフランシスコ気候週間でHeatmapが開催したイベントでは、気候技術の将来について議論が行われました。Galvanize Climate Solutions共同創設者のTom Steyerは「人々は新技術が優れているから採用する」と述べ、気候産業の各分野には変革的なアイデアが存在する、と強調しました。Impulse LabsのCEO Sam D'Amicoは自社の誘導調理器が家庭用蓄電システムの役割も果たすと説明。投資家パネルでは、関税の不確実性が事業計画の敵だと警告しつつも、炭素除去技術などの成長分野に注目していることが共有されました。

*アル・ゴア氏のSF Climate Weekでのスピーチ

【8】📉 投資家が冷え込む「かつて人気の気候テック」 [5/1 Bloomberg Green]

• 米国のDAC技術スタートアップへの投資が2025年第1四半期に前年比60%減少した一方、気候テック全体は65%増加しています。DACは1トン当たり約1000ドル以上のコストがかかり、経済性が投資家から疑問視されています。トランプ政権下でのインフレ削減法の税額控除撤回や政府DAC推進プログラム中止の可能性が高まっており、企業の気候目標後退により、高額（平均715ドル/トン）なDACカーボンクレジット購入に影響が出る懸念があります。業界団体は四半期データのみでの長期的な傾向予測に警鐘を鳴らし、楽観的な見方を維持しています。

【9】🏷️ トランプ時代第二幕における気候テック企業のブランディング方法 [5/2 Heatmap News]

• トランプ政権2期目の到来で、気候テック企業のブランディング戦略が大きく変化しています。「気候」や「持続可能性」といった用語は避け、代わりに「エネルギー独立」「エネルギー支配」「国家安全保障」といった言葉が重視されるようになりました。政府機関では「地球温暖化」や「カーボンフットプリント」などの34の用語が公式文書から削除され、気候関連の助成金申請は言い換えが必要になりました。しかし、実質的な事業環境は変わらず、2025年第1四半期の気候テック投資は前年同期比65%増の50億ドル以上に達しています。企業は「アメリカ製」を強調し、理想主義的なメッセージから即時的なビジネス利益を前面に出す戦略に転換しています。

【10】🚗 "王者"BYD 日本で軽EV参入の勝算は？ [5/2 テレ東BIZ]

• 中国で最大の自動車ショー、上海国際モーターショーの模様を、テレビ東京のライブ配信番組でレポートされています。中国の自動車メーカーBYDの日本市場への軽EV参入についても取り上げていています。*「テレ東BIZ」フルバージョン

• ここまでお読みいただきありがとうございました! 今回は以上となります。もしニュースレターが有益と感じられたら、XなどSNSで「いいね」や「シェア」をお願いします。みなさんのネットワークの中で、気候変動に関する情報を必要としている方に届くきっかけになれば幸いです。

• *気候変動、脱炭素、気候テック関連のリサーチ等にも力を入れています。海外の業界動向調査やコンサルティング等、お仕事のご相談・ご依頼がありましたら、どうぞお気軽にご連絡下さい。

では、よい週末をお過ごしください🙂🙋🌸

市川裕康 株式会社ソーシャルカンパニー | www.socialcompany.org

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